新自由主義的傾向の強かったオリラジ中田の変化はテレビとの決別が原因か?
しかし、オリラジ中田といえば、コメンテーターとして出演していた『ビビット』(TBS)に出演していた時代は、保守的ではないが、新自由主義的な弱肉強食思想を持った意識高い系というイメージが強かった。それが、こうした民主主義を守る視点を持ち、貧困に苦しむ国民の側に立った解説をするというのは驚きではないか。いったい中田に何があったのか。
その背景はよくわからないが、少なくとも、テレビと決別したことが一つの要因になっていることは確かだろう。松本人志というタブーに触れた結果、自らに身に起きたことなどを通じて、いかにメディアの情報が真実を伝えていないか、権力やステークホルダーにいかに都合よく報道が歪曲されているか、ということを実感した部分もあるかもしれない。
実際、中田は前述した「日本人が知っておくべき「憲法改正」問題」の回で、マスコミの問題点についても触れている。
「マスコミは、それこそ忖度せずに、いろんなことを報道して、ちゃんと、いまなにをやって、政治の争点がなんなのか(報じなければならない)。こうやって僕が説明したらわかるでしょ? なのに、わからない状況にしてませんか?って監視して、『そのやり方よくない!』って(言うべき)。国民にちゃんと啓蒙するならまだしも、逆もあるからね」
「だから、日本のマスコミってちゃんと正常に機能してますかってことを、(権力の)監視者であるマスコミを我々はちゃんと監視して、『おい、あそこの局おかしいだろ!』とか、『あそこの新聞社ちゃんとしろよ』とか、そういうことを見ておかないと、往々にして我々は操られる危険性もあるんだよと」
まさに覚醒した感のある中田だが、しかし、問題はこれからだ。というのも、中田のこうした姿勢に対して様々な妨害、攻撃が入ることが予想されるからだ。すでに、改憲の回に対しては、安倍応援団などから「印象操作だ」などという的外れな攻撃が加えられているし、今後、影響力が高まれば、政権からの取り込み工作もあるだろう。
中田自身、一方で最近もホリエモンや幻冬舎の箕輪厚介氏と仲良く対談するなど、今なお新自由主義者的傾向も引きずっているため、何かの拍子で簡単に転ぶ可能性もある。
とはいえ、芸人的なトーク力と鋭さを持った新たなリベラル論客の登場は素直に喜ぶべきだろう。中田にはぜひ、今のスタンスを続けてほしいし、多くの視聴者に「中田敦彦のYouTube大学」を見てほしいと、切に願う。
(編集部)
最終更新:2019.08.11 12:47