山本を「放送禁止物体」としてしか見ないテレビの「放送検閲装置」ぶり
選挙期間中は政党要件を言い訳にし、選挙後は政党要件を満たして国民の支持を集めたにも関わらず、無視をする──。しかも、前述したように山本本人は「放送禁止物体なので地上波に呼ばれるなんて」と自嘲気味に語ったが、実際に放送で語った主張は「放送禁止」になるようなものではけっしてなかった。消費税問題にしろ、原発問題にしろ、わたしたちの暮らしにどんな悪影響を与えるのか、それを防ぐためにどういう対案があるのかをきちんと提示していた。
いや、それは選挙戦でも同様だった。俳優・タレント時代、山本が脱原発を訴えたときもテレビ局は仕事を干し上げ、政界に進出してからも“イロモノ”扱いしてきた。たしかに山本は天皇への直訴など過激な言動を起こしてきたことも事実だが、今回の“れいわ旋風”は、そうした過激さではなく、具体的な政策提案と「誰も殺さない社会」という明確なメッセージが多くの人びとを惹き付けたのだ。
ところが、それでもテレビは山本を「放送禁止物体」としてしか見ず、たしかに起こっていた有権者の大きなうねりをも無視した。
そういう意味では、山本を「放送禁止物体」と見なしているテレビこそが、安倍政権と一体になって国民の目に真実を見えなくしている「放送検閲装置」であることを浮き彫りにしたと言えるだろう。
しかし、こんな状況に屈する山本ではない。きょうの『モーニングショー』で山本は、「最終的には当然、政権を狙いにいくということで旗揚げしました」とし、「(衆院選は)出るしかないですよね」「(衆院選で出馬するなら)自分の持っている力を最大化できるかたちでと思っています」と語った。このとき、玉川氏が「最大化」の中身について尋ねると、山本はこのように返答した。
「テレビがより取り上げざるを得ないところから出るとか」
「街頭演説とかで多くのみなさんに見ていただきましたけれども、やっぱりテレビ、基本的に垂れ流しじゃないですか。(視聴率)1%で100万人の方々がご覧になるので、やはりテレビに取り上げられて拡大していくというのが非常に重要だと思っています」
テレビに取り上げられなければ、拡大は望めない──。その現実を痛感しているのは、ほかでもなく山本自身だ。これからは、テレビが無視を決め込むことができなくなるほど、さらに大きな波を起こしてゆくことを狙っているはずだ。
(編集部)
最終更新:2019.07.25 11:04