ユチョン報道でテレビが元東方神起、ジェジュンとの関係に一切触れない理由
ようするに、K-POPアイドルをめぐるスキャンダル報道は、セウォル号事故、朴槿恵前大統領の汚職、財閥スキャンダル同様、ここ数年ワイドショーの定番ネタとなっているヘイトまがいの韓国バッシングネタのひとつなのだ。
ただ韓国を見下せればいいだけで、公権力とエスタブリッシュメント層の癒着や芸能界の構造的問題などを真剣に考える気など一切ない。
象徴的なのが、JYJのユチョンにかんするご都合主義的な報道だ。ワイドショーはこれだけ熱心にユチョンの事件を扱い、韓国の芸能界にかんするバッシング報道を繰り広げながら、ユチョンのある重要なプロフィルについては触れていないのだ。
それは、ユチョンがNHK紅白歌合戦にも出場したこともある「東方神起」の元メンバーであり、現在、所属するJYJのメンバーには、いま日本のテレビでも引っ張りダコのジェジェンがいるという事実だ。
周知のとおり、東方神起はもともと韓国の最大手事務所SMエンターテインメントに所属する5人組のK-POPグループだったが、2009年ごろからユチョン、ジェジュン、ジュンスの3人が契約内容が不当であるとして事務所と対立。裁判闘争も経て、ユチョンら3人はSMエンターテインメントを退所しJYJとして活動開始、残った2人が東方神起として活動するようになる。
日本では東方神起は分裂前も分裂後もレコード会社のエイベックスに所属しており、芸能界やテレビ局に絶大な影響力を誇るバーニングプロダクションが後ろ盾としてついていた。
一方、JYJは韓国最大手の事務所を脱退したため、当初、日本でも完全に干されていたが、メンバーのうちジェジュンだけは、最近、バーニング系のケイダッシュがサポートするようになったため、完全復活。ジェジュン単独でのバラエティ出演がある時点から一気に増えたのにはそういう背景がある。
つまり日本のワイドショーは、バーニングやエイベックスへの配慮から、ユチョンが東方神起メンバーだった過去に触れず、ケイダッシュへの配慮から、現在、ユチュンの所属するJYJにジェジュンも所属していることを一切取り上げないのだ。ピエール瀧のコカイン事件報道で電気グルーヴのメンバーである石野卓球を叩いたのとは、対照的と言っていいだろう。