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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第29号

冤罪に巻き込まれた会社員を襲った悲劇! 釈放され不起訴になったのに、会社は推定無罪を無視して解雇

冤罪に巻き込まれた会社員を襲った悲劇! 釈放され不起訴になったのに、会社は推定無罪を無視して解雇の画像1


 推定無罪の原則。ご存知のとおり、近代刑法上の大原則である。私の印象では、刑事ドラマではこれが完全にないがしろにされているが、弁護士や検察官を登場人物に描いたドラマでは一応この原則を説明するようになっているように思う。

 今回は、そんな推定無罪原則が雇用関係で問題になった事例をご紹介する。

 依頼者の木村さん(仮名)は、社会福祉法人城西園(仮名)で働いていた。
介護の仕事にやりがいを持って取り組み、熱心に仕事に励んでいた。

 年末、法人全体の忘年会があり、上司の松さん(仮名)、同僚の阿部さん(仮名)らと共に、木村さんは都心から郊外の自宅への帰路についていた。すでに日付が変わる頃の時間で、下りの特急電車は忘年会帰りの乗客で混み合っていた。

 木村さんたちはそれなりに酔っ払っており、上機嫌でついつい大声で会話していたせいか、他の乗客である角野氏(仮名)と口論になってしまった。ようやく停車した駅で木村さん達も角野氏も一旦降車したところ、木村さん達は角野氏との仲直りを図った。

 しかし、角野氏はこれに応じず、突然大声を上げ始めた(角野氏も酔っていた様子だった)。トラブルに発展するかもしれないと考えた木村さん達は角野氏と離れたが、同僚の阿部さんは角野氏とともに木村さん達から離れていってしまい、少しの間、木村さん達の視界から消えてしまった。

 2人きりにするのは問題であると考えた木村さん達が阿部さんのところへ向かうと、角野氏が横たわっていた。阿部さんが何かしたのかは木村さん達にもわからなかったが、2人の間にトラブルがあった様子ではあった。

 すると、駅員が駆けつけ「関係者は一緒に来てください」と言われ、木村さん達は駅員室へ同行した。

 その後の展開は木村さんにとっては全く予期せぬものだった。

 木村さんが駅員室で待機していたところ警察が来て、トラブルのことについて事情を聴かれた。木村さんは警察の事情聴取には正直に応じていたものの、阿部さんと角野氏との間に何があったかを木村さんは知らなかったため、話しようがなかった。

 それにもかかわらず、木村さんは警察署に連行され、同僚達とは別々に長時間にわたり取調べを受けた。どうやら警察は、木村さんが阿部さんと一緒に角野氏に暴行を行ったものと考えているようであったが、身に覚えのない木村さんは、自身が事件に関与していないこと、そもそも事件とされるものの正確な内容自体知らないこと等を説明したものの、翌日昼頃に木村さんは逮捕された。
木村さんは、その後検察官に対しても真実を述べ、容疑は事実に反することを訴えたが、聞き入れてもらえずに勾留されることとなった。

 木村さんは、はじめに接見に来た弁護士から容疑を認めて示談をする方針を勧められたこともあったが、否認を貫いた。その後、別の弁護士の弁護活動のおかげで、逮捕から5日後、ようやく木村さんは釈放された。

 その後も捜査は継続されたものの、事件から約3カ月後に木村さんは不起訴処分とされた。やっていないのであるから当然、と思われるかもしれないが、きちんと否認を貫いた木村さんの忍耐と、弁護活動のおかげであろう(残念ながら私とは別の弁護士である)。

 いずれにしても、安易な逮捕勾留によって身体拘束した捜査機関と裁判所の罪は重い。

 しかし、木村さんにとっての悲劇はこれにとどまらない。

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