「自由民主党衆議院議員田畑つよし」ホームページより
準強制性交容疑で刑事告訴された田畑毅衆院議員は、3月1日の衆院本会議で辞職届けが認められた。2月15日に自民党へ離党届けを出してから2週間。辞職は遅きに失した感を否めない。
なにしろ、田畑氏は、交際中だった名古屋市の20代女性から刑事告訴されているうえ、今週の「週刊文春」では、高校2年生の時に同じような行為をされたという女性から告発されてしまったからだ。
記事によると、田畑氏は女子高生を都内の自宅兼事務所マンションに連れ込み、力任せに押し倒して避妊具も付けずに性交渉に及んだうえ、いやがる少女を押さえつけてビデオカメラで撮影していたという。
田畑氏は“魔の三回生”と呼ばれ、何かとトラブルを起こす安倍チルドレンのひとりだが、高校2年への淫行行為は当選前に行われたものであり、安倍自民党は、性犯罪者を議員として迎え入れていたことになる。派閥の長である二階俊博幹事長はもちろん、安倍首相の責任も厳しく問われるべきだろう。
しかし、現実はどうやら逆に動いているようだ。安倍首相や二階幹事長の責任どころか、事件はこのまま幕引きされてしまう可能性が濃厚になってきた。
前述したように、田畑氏は名古屋市の20代女性から準強制性交容疑で刑事告訴されているが、捜査をしている愛知県警が完全に腰が引けているらしいのだ。全国紙の愛知県警担当記者が語る。
「女性からの告訴状は愛知県警が2月6日に受理しています。国会会期中は不逮捕特権がありますが、田畑氏は議員辞職したわけですから、逮捕される可能性もある。そう思って、各社、取材をかけているんですが、捜査員の反応が消極的なんです。『交際していたわけだから、逮捕は難しい』『強制を証明できない』とかなんとか言い訳ばかり語っている。国民の目がありますから、在宅で書類送検くらいはするかもしれませんが、その場合も、送致書の内容は不起訴を誘導するようなものになるんじゃないかといわれています
実は、こうした愛知県警の消極姿勢の裏には、例の安倍政権のおぼえめでたい警察官僚の介入がいあったのではないかといわれている。
周知のように、事件は去年のクリスマスイブに起きたもので、女性は現場から警察に通報。警察官が駆けつけ、すぐに被害届を出しており、当初は、捜査現場もやる気を見せていた。ところが、それからほどなくして、空気が一変したのだという。
きっかけは、愛知県警本部長の加藤達也氏が警察庁に呼び出されたことだったという。県警関係者がこう語る
「国会議員に関わる事件ということで、発生直後から警察庁には報告をあげていたようなんですが、年明け、捜査の指揮を執る県警の加藤達也本部長が警察庁に呼ばれ、中村格官房長から慎重捜査を厳命されたようなんです。この話が流れたあと、県警の捜査本部の空気ががらりと変わった。そのあと、刑事告訴は一応、受理しましたが、それはメディアの目があるからで、まともな捜査はほとんどできていません」
警察庁からの圧力というわけだが、加藤本部長を東京に呼んだという警察庁官房長の名前に聞き覚えはないだろうか。そう、中村格氏といえば、安倍首相のお友だちのジャーナリスト・山口敬之氏の事件で捜査に圧力をかけたといわれる警察官僚だ。