志願者数が減少する自衛隊の現状、改憲で“本物の徴兵制”も視野か
ようするに、安倍首相は自衛隊の戦力等をめぐる憲法違反を「だから憲法を変えればいい」といって転倒させるのと同様に、個人情報上の違法が指摘されている自衛官勧誘のための名簿提出をネグって、厚顔にも「協力しない自治体が悪い」とすり替えているのだ。
あげく、自衛隊募集のための個人情報提出に反対する市民をやり玉にして、
総理大臣が国会の場で恫喝すらしてみせる。まるで、戦争に協力しない国民や組織を政府が全体主義で糾弾した戦中のようなやり方だ。
市町村はつべこべ言わず住民を自衛隊に入れろ──完全に狂気だが、周知の通り、その背景には止まらない自衛隊志願者数の減少がある。実際、自衛官候補生試験の応募者数は2013年の3万3534人から2017年には2万7510人にまで減った。
他方、この間、安倍政権は安保法制によって自衛隊の海外活動範囲を飛躍的に広げ、駆け付け警護の新任務など危険も増加した。2014年の沖縄タイムスのインタビューでは、20代の元自衛官が「安倍政権になってから、内容が大幅に変わりました。人を標的とする訓練が始まりました」「軍隊としか思えません。1年に2回だった実戦訓練は実際、増えました」と証言している。
志願者の減少には少子化の影響ももちろんあるが、こうした“人を殺し、殺されるようになる”状況で、自衛隊に入ろうという国民が増えるはずがない。だからこそ、安倍首相は自治体に公然と圧力をかけることで、リクルートを強制しようとしているのだろう。これは、その先に事実上の徴兵制度が復活する可能性が十分にありうることを意味している。
「憲法18条には意に反する苦役、これはダメですよということが書いてあります。そして徴兵制度の本質は、意思に反して強制的に兵士の義務を負うことです。ですから、徴兵制は明確に憲法違反なんです」
安倍首相は2015年の安保国会の最中、自民党のネット番組でこう述べていた。ならば、次は「徴兵制は憲法違反との指摘が根強くある。ですから憲法を変えなければならないのであります」とでも言うのではないか。冗談ではなく、安倍首相の詭弁を弄した9条改憲を許してしまえば、このまま一気に“戦時体制”へとなだれ込んでいくはずだ。
(編集部)
最終更新:2019.02.03 01:19