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稀勢の里「歪なナショナリズムのアイコン」として政治利用された相撲人生! 受け続けた「日本スゴイ」の重圧が…

稀勢の里優勝に立ちはだかったモンゴル力士に「ヘイト」ヤジ

 2017年3月の大相撲春場所。この場所では、稀勢の里がケガを押して劇的な逆転優勝をおさめ、大きな注目を浴びたが、その稀勢の里と優勝を争っていたモンゴル出身の大関・照ノ富士に対し、観客からブーイングが起き「モンゴルへ帰れ」とのヘイトスピーチまで浴びせられたのだ。

 それは、照ノ富士と関脇・琴奨菊の取り組みでのことだった。左膝にケガを抱えた状況で臨んだこの一戦で照ノ富士は立ち合いで変化、はたき込みで琴奨菊を破ったのだが、この内容に観客は大ブーイング。「そこまでして勝ちたいんか」「金返せ」「勝ったら何でもいいんか」といったヤジを浴びせた。そして、そのヤジのなかに「モンゴルへ帰れ」というヘイト丸出しのセリフが含まれていたのだ。

 たとえ取組の内容に不満があったとしても、差別ヤジが許されるはずがない。しかも、この春場所では、千秋楽、稀勢の里が照ノ富士に対し、立ち合い変化を見せて勝利した。ところが、稀勢の里に対しては、照ノ富士に浴びせられたようなヤジは一切飛ばなかった。ようするに、照ノ富士は稀勢の里の優勝を阻む可能性のあるモンゴル出身だから攻撃され、「モンゴルへ帰れ」などという差別ヤジまで浴びせられたのだ。

 だが、メディアはこうした差別をいさめるどころか、むしろ後押しした。照ノ富士と琴奨菊の一戦を報じたウェブ版のスポーツ報知が、なんと「照ノ富士、変化で王手も大ブーイング!「モンゴル帰れ」」と見出しをつけて報じたのだ。

 ヘイトスピーチのヤジを好意的に受け止めているとも読めるこの見出しには批判が殺到。津田大介氏もツイッターで〈法務省がガイドラインとして「アウト」と示しているのにそれを否定せず(何なら肯定的な文脈で)見出しに使う報知新聞が一番アウトではこれ……。「美しい国」だよまったく。〉と苦言を呈するなどしていた。

 こうした批判を受けて報知新聞社は翌日、見出しから「モンゴル帰れ」の部分を削除。また、記事本文にある「モンゴルに帰れ!」「恥を知れ!」などのヤジ紹介部分も削除したうえ、29日にはウェブサイト上に〈大関・照ノ富士関の記事と見出しで、観客のヤジを記述した部分に、ヘイトスピーチを想起させる表現がありました。人権上の配慮が足りず、不快な思いをされた皆様におわびします。〉と謝罪のコメントを出した。

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