たけしが差別発言連発の『チマタの噺SP』(テレビ東京)
いったいなぜこんなとんでもない発言が批判も受けずに放置されているのか。2018年12月26日深夜に放送された『チマタの噺SP』(テレビ東京)で、ビートたけしがフィギュアスケートの羽生結弦選手に対して「ホモだろう!」と叫ぶなど、LGBT差別発言を連発したのだ。
この番組は、笑福亭鶴瓶とたけしが2018年のニュースを振り返るというもの。たけしのLGBT差別が飛び出したのは、そのなかでスポーツ界のパワハラ事件の話題をとりあげたときのことだった。日大アメフトタックル事件について、こんなことを言い始めたのだ。
「内田とさあ、日大相撲部の監督(田中理事長)、あとコーチもいるだろ、寺尾みたいな顔してるコーチ(井上コーチ)。これ、全部ホモだろ、こいつら3人とも。この内田監督も独身らしいよ」
なんの脈絡もなく日大の田中英壽理事長、アメフト部の内田正人元監督、井上奨元コーチの3人をゲイだと言い出すたけし。しかもわざわざ“ホモ”という差別語を使って、である。
続けてパワハラ加害者の3人だけでなく、被害者である選手たちのこともこう揶揄した。
「で、関西学院大学にタックルした奴もケツ抱きしめて(笑)、こうやって頬ずりしてたって(笑)」
抱きしめるようなジェスチャーをしながら、危険タックル行為を性行為になぞらえたのだ。鶴瓶は立ち上がって制止しようとするが、たけしはおかまいなしで重ねていく。
「その後ろから式守伊之助がまた(抱きしめる仕草)数珠つなぎになって、ジェンカ踊ってたって(笑)。のこったのこったって言って、ケツ押してるほうが勝っちゃった。間違えて押しちゃった」
若手行司にセクハラ行為を行ったとして処分された大相撲行司の式守伊之助の名前を持ち出し、危険タックル問題や行事セクハラ問題を同性愛者の問題であるかのようにまとめて揶揄したのである(ちなみに日大のパワハラについてはそれ以外の論評は一切なく、貴ノ岩の暴力も「別に普通」と言い放っていた)。
そのあと、たけし軍団のエピソードや、今、執筆中だという戦国時代の小説などを語る際にも、たけしは「ホモ」という差別語を連発し、男性同士の性行為を身振り手振りまで使って事細かに揶揄しまくった。
さらに相方のビートきよしが同棲していたトランスジェンダーの自衛隊員に車を買ってもらったというエピソードを話した際は、差別語である「オカマ」とかけて「車種はカマロ」と何度も連発し、スタジオは爆笑。なかでも、唖然としたのが、羽生結弦選手への一言だった。平昌五輪で活躍した日本人選手を振り返るくだりで、鶴瓶が「羽生はすごい」と言うと、たけしはまた大きな声で「これは、ホモだろう!」と叫んだのだ。
スタジオはこの発言に、この日もっとも大きな爆笑が巻き起こったが、たけしが羽生選手について語ったのはこの一言だけ。ようするに、たけしは羽生選手の競技のことなどどうでもよく、差別用語を口にしたかった、同性愛を侮蔑したかった、それだけなのである。