音喜多駿に代表される「単なる講演料」という意見の意識の低さ
それはともかく、昨年分だけで、三浦氏に約63万円、田崎氏に約38万円が自民党から支払われていたことは、紛れもない事実である。前回記事を配信した際には、冒頭で指摘したように、安倍応援団や三浦瑠麗ファンから「ただの交通費ではないか」「たったの8万円で何をいいがかりをつけているのか」などという批判が寄せられていた。また、音喜多駿・東京都議会議員も記事をリツイートするかたちで〈どう考えても、単なる講演料でしょう…。なんでもかんでも言いがかりをつければよいというものではありません。あ、安すぎる金額で引き受けている!癒着だ!という高度な批判なのか??〉と投稿していた。彼らは、この金額でも「たんなる講演料への言いがかり」「たったの63万円でガタガタ言うな」と言うのだろうか。
しかも、問題は金額の多寡ではない。前回記事でも書いたが、音喜多議員のように理解していない意識の低い政治家もいるようなので再度言及しておこう。本サイトが問題にしているのは、三浦氏や田崎氏が自民党の講演会を引き受け、その結果、金を受け取る一方で、テレビに出演しては安倍政権への露骨な擁護を繰り返してきたという姿勢についてだ。
三浦氏や田崎氏が学者やジャーナリストとしてテレビに登場し、コメンテーターとして発言する行為は、社会に多大な影響を与えている。だが、安保法制や共謀罪といった嘘や矛盾、問題点が噴出した法案審議や、政治の私物化が露わとなった森友・加計問題などについて、三浦氏は政権側にひと言申したフリをしつつも最終的には安倍政権を肯定する発言をおこない、田崎氏にいたっては共演者から“政権の代弁者”と認定されるほどにあからさまな“安倍官邸のスポークスマン”として立ち回ってきた(詳しくは前回記事を参照「田崎史郎だけでなく三浦瑠麗らにも自民党本部から金が! 2017年度の政治資金収支報告に支出記載」)。
もし、三浦氏も田崎氏も、誰の目にもあきらかな安倍政権の問題について、批判すべきところでしっかり批判をおこなっているのであれば、話は別だ。しかし、三浦氏にしても田崎氏にしても、テレビで政権を擁護する発言を繰り返してきた。そうしたテレビ出演の裏で、自民党の政治資金パーティで講演をおこなっているというのであれば、その言論に疑問符がつくのは当然の話だ。しかも、三浦氏が講演をおこなった山口県連の「政経セミナー」はこの1回で4837万円、田崎氏が講演した鳥取県連の「政経セミナー」もこれだけで2392万円もの政治資金を集めている。ようするに、自民党のカネ集めに協力したかたちになっているのだ。
さらに、今回、二人については、高額のギャラをもらっていたことが判明した。これはもはや“ビジネス”と呼ぶのに十分な金額であり、この報酬が政治評論に影響を与える可能性を指摘されてもやむを得ないだろう。
実際、地位や利権、情報などのおいしい餌を与えて味方を増やしていくやり方こそ、安倍首相の常套手段である。それは、お金だけではない。田崎氏は“スシロー”と呼ばれるほどに安倍首相と会食を重ねる“アベ友”であり、三浦氏も会食のほか、今年には安倍首相が開催する「安全保障と防衛力に関する懇談会」の有識者メンバーにも抜擢された。こうして政権批判がしづらい“ズブズブの関係”はつくり上げられていくのではないか。
学者や政治ジャーナリスト、評論家という肩書きの者たちが嬉々として権力者との会食や政府系の会議に馳せ参じ、政権与党から講演料として平気でカネを受け取り、そして、そういう連中こそが、コメンテーターとしてメディアで重宝されている。こんな状況を許していたら、それこそ権力チェックなどできるはずがないだろう。
(編集部)
最終更新:2018.12.09 11:00