リベラル派や護憲派の学者・文化人へのデマ、スキャンダル攻撃が始まる
そうしたなかで今回、自民党の憲法改正推進本部で「護憲派を敵と見立てよ」との話が出てきたわけである。前述の下村氏のように、安倍改憲に反対する野党を「職場放棄」などと攻撃するような、直接的なものだけではないだろう。たとえばいま、リベラル派や護憲派の学者・文化人に対しては、ネット右翼が日々、デマを振りまいてその人格を貶めるネガティブキャンペーンを行なっているが、おそらく、それと似たようなことを政権がどんどん仕掛けてくるはずだ。実際、御用メディアに護憲派の人物に関してあることないこと吹き込んで「スキャンダル記事」を書かせるというのは、今までも陰で行なわれてきたことだ。
また、テレビ地上波では、いままで以上に、リベラル派・護憲派のコメンテーターの起用が控えられるようになるだろう。官邸や自民党による度重なる圧力の結果、すでにワイドショーや情報番組の出演者は、安倍政権の応援団か当たり障りのない中立論者ばかりになってしまった。その延長線上で、さらに「護憲派=敵」というキャンペーンが進めば、護憲派文化人、ジャーナリスト、学者らが一切、テレビから排除されていくだろう。
安倍首相は昨年の都議会選の応援演説において、政権を批判する市民に向かって「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫んだ。国民を分断し、批判する者を「敵」として吊るし上げる。それが安倍首相のやり方だ。何度でも繰り返すが、同じことが憲法改正で行われようとしている。国民の半数を「敵」に見立て、その思想信条を攻撃しようとしている政権与党の姿勢は、民主主義国家のあるべき姿ではない。もはや、反戦主義者を「思想犯」として取り締まった、戦前・戦中のそれである。
(編集部)
最終更新:2018.12.09 11:00