抗議してきた右翼に発表より先に中止を知らせていた南丹市
講演会中止から1週間以上、当事者から問い合わせがあるまで何の説明もしてこなかったというのは驚きだが、これはおそらく、南丹市自体が中止という決定に正当な理由がないことを認識していたからだろう。
実際、いま、ネット上では、夫婦で香山氏の講演会に抗議をおこなったという女性のFacebookが確認されているが、その内容から、南丹市の信じられない対応が浮かび上がってきた。
この女性は14日に、今回の香山氏の講演のチラシ画像を掲載し、〈今日中学生の娘が学校から持ち帰った連絡プリントです。こんな輩に子育て応援されたくない! 今主人が早速役場に抗議に出かけてます〉と投稿している。女性のFBには、中韓ヘイトや「反日」叩きの書き込みが数多く掲載されており、ネット上では彼女の夫が右翼団体の代表を務めていることも指摘されている。この女性と夫の抗議が香山氏の講演中止のきっかけをつくったと考えて間違いないだろう。
だが、驚いたのはこの女性が3日後の17日、同じくFacebookに投稿した書き込みだった。
〈先日投稿した子供が持ち帰ったお知らせプリント『子育て応援講演会』講師(極左有名精神科女医)南丹市に抗議したところ、インターネット検索でどんな女医かを関係者が初めて知り、緊急会議ののち今回の講演は見送り、別の講師を、とのことで難を逃れました。よー調べてから呼ばんかい!〉
ちなみに、南丹市が今回の講演会中止を発表し、メディアが報じたのは22日、香山氏が代理店から連絡を受けたのは19日。このFacebookの書き込みをみるかぎり、南丹市は市民や香山氏よりも前に、抗議してきた「右翼」関係者に香山氏の講演キャンセルと代役差し替えを報告していたことになる。
これこそ、中止が「安全対策」などでなく、特定の人間の脅しに屈したことの証明ではないか。