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ゴーン逮捕で日本の“中世並み”司法制度に海外から一斉批判! それでも特捜部は自白強要のために長期勾留するのか

容疑を否認したら数ヶ月以上、勾留され続ける日本の中世並み“人質司法”

 今回のゴーン氏の件で、この「中世」並の日本の刑事司法が改めて注目されているわけだが、今後、この批判は世界にいっそう広まっていく可能性がある。というのも、いまはまだ、批判の論点が「弁護士が同席できない」「家族との接見制限」「20日間の勾留」にとどまっているが、今後、ゴーン容疑者は欧米ではもっとあり得ない状態に置かれる可能性があるからだ。

 それは、起訴後の長期勾留である。そもそも、日本の刑事手続における「勾留」は、刑事訴訟法60条等により「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合」かつ、「被告人が定まった住居を有しないとき」「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」「被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」のいずれかを満たす場合に可能で、起訴前の勾留期間は最大20日だ。

 ところが実際の運用では、「証拠隠滅」や「逃亡」などの恐れとは全く無関係に、とにかく容疑を否認したり無罪を主張する容疑者・被告人を長期にわたって身柄拘束することが常態化している。そして接見禁止をかけたり保釈請求の却下を繰り返すことで孤立させ、肉体的・精神的に追い詰めながら、捜査機関が釈放をチラつかせて自白を迫るのだ。こうした行為は「人質司法」と呼ばれ、人権侵害や冤罪の温床として長年問題視されている。

 最近では森友学園の籠池泰典・諄子夫妻の不当勾留が記憶に新しい。籠池夫妻は補助金詐欺事件で、実に10カ月の長期にわたって勾留された。のちに無罪が確定した元厚労事務次官の村木厚子氏も、虚偽有印公文書作成および行使の罪などを否認したことで5カ月以上も勾留されている。ホリエモンこと堀江貴文氏も約3カ月間勾留された。これですら被疑者が否認しているケースでは比較的「短期」と言えてしまうのが恐ろしいところだが、2015年7月10日の衆院法務委員会に参考人として呼ばれたホリエモンは、勾留中の体験をこのように述べていた。

「単なる勾留ではなくて、私の場合は経済事犯でしたので、接見禁止命令というのがつきまして、担当の弁護士さん以外は誰にも会えない、そして雑誌、新聞の閲覧もまかりならぬということが94日間続きまして、非常に孤独で隔絶された世界におりました。これは、被告人、被疑者にとっては非常に精神的な不安になっておりまして、かなり精神的プレッシャーになるので、脳の記憶が書きかえられてしまうぐらいの記憶になります。これは村木(厚子)さんもおっしゃっていましたけれども、自分がやっていないことをさもやっているかのように思ってしまう」

 被疑者を外界から遮断し、完全に捜査当局のコントロール下に置いて自白を強要する長期勾留は、はっきり言って「認めるまで外に出さんぞ」と脅しているようなものだ。ここには、近代法の大原則である「推定無罪」がまったく働いていない。また、日本国憲法38条では〈強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない〉とされているが、「人質司法」においてはこれも事実上無視されているに等しい。国際的にも強く批判されて当然だろう。

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