「靖国職員」サイトの暴論を否定しない靖国神社…新体制の今後は?
結局、靖国神社は「靖国神社職員」を名乗りウェブサイトで意見を発信するという「手段」についてだけは「遺憾」としたが、その主張に対しては一切否定も反対もしなかった。同サイトが〈おそらく当局は決して否定も反対もせず、黙認するでしょう〉と予言していたとおりになったといっていいだろう。
ウェブサイト「靖国神社職員有志の主張」の実際の運営主体については、現段階ではまだ断定できないが、靖国神社のこうした態度をみるかぎり、同サイトがかなり力をもった内部関係者によって運営されている可能性は否定できない。また、そうでなかったとしても、その内容が靖国神社の本音に近いことは間違いないだろう。だからこそ、靖国神社はこのサイトに抗議することも、その見解を否定することもできないのではないか。
靖国神社は26日に行った総代会で、小堀宮司の辞任を正式に決定した。後任には、靖国神社で総務部長やナンバー2の権宮司を歴任した山口建史氏(皇學館常務理事)が就任。山口氏は昭和天皇がA級戦犯合祀に嫌悪感を示していた通称「富田メモ」報道の際、権宮司として対応を指揮したひとりだ。
小堀前宮司による“天皇批判”は波紋を広げた。しかし、あらためて考えなくてはならないのは、この極めて特殊な施設が「お国のために死ぬ」国民だけを神格化しているという本質をもっていることだろう。それは、日本の戦争を正当化し、国民を戦地へ駆り出させようとするシステムそのものなのだ。
集団的自衛権の行使容認など、安倍政権によって「戦争のできる国」へと邁進するなか、必ずや「戦死自衛官の靖国合祀論」も高まってくる。靖国問題は、過去に向かれたものではない。現在の私たち自身の、そして次の世代の命運をも左右する喫緊の問題なのである。
(編集部)
最終更新:2018.10.28 09:59