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室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第12回ゲスト 原田眞人(後編)

原田眞人監督と室井佑月が安倍首相の「政界引退したら、映画プロデューサー」発言に痛烈ツッコミ!

安倍首相が「よかった」と言っている映画は愚作ばかり

室井 でも彼らが思う“伝統”や“民主主義の否定”の映画に限定されちゃうんじゃないかと。審査だってあるだろうし、その人たちは安倍ちゃんとお友だちだったりするだろうし。でも明治と銘打ったら公平にお金出さなきゃおかしいです。そして物書きとしてのわたしの仕事は「この企画はなんで落ちたんだ」といったことを書いていくことです。

原田 そうです。それをそこで掘り起こしてくれないと、表現の自由のいい形には繋がっていきません。

室井 あっ、もうひとつどうしても聞きたいことがあったんです。安倍さんが「政治家にならなかったら映画監督になっていたかも」なんて言っているんです。最近では「首相を辞めたら映画プロデューサーになりたい」なんて言い出してますけど、本当になれると思いますか?

原田 なれるわけないじゃないですか!

室井 やっぱり(笑)。でも怖いもの見たさでどんな作品か観たい気持ちもあるんですが。

原田 そもそも彼がいままで「これ見た」「あれ見た」「よかった」と言っている作品は愚作ばかりですからね。でも本当になりたければうちの助監督として怒鳴りつけながら使ってやりますよ(笑)。

室井 映画っていうよりは、警察が作っている交通安全の啓蒙ビデオみたいになったりして(笑)。

原田 それは鋭い観察だと思います。免許証更新のたびにああいうところにいって、警察の広告が作っている作品を見せられて。どんなやつが作っているんだろうと思っていたけど、そうか。安倍さんみたいな人がつくっているんですね(笑)。しかも、もし安倍さんがプロデューサーになったとしたら、原作は誰を使うかもうわかっているじゃないですか。

室井 そうですよね〜。でも安倍さんてすごい巨額なお金を集めてきそう。でもそれでお友だちのお願いをすぐ聞くから、お友だち企業の商品がむやみやたらに置かれてそう(笑)。

原田 確かにプロデューサーはお金の面の担当ですからね。しかし監督は具体的なビジョンがないとダメだし、僕が信奉する監督は脚本も自分で書いている人なのでその段階から自分の作りたい世界をイメージできる人。それが本当の映画監督だと思うんです。自分でやりたい作品を考え、比喩隠喩も上手く入れつつ社会風刺も入る作品を作る監督はそう何人もいません。全体的に日本映画は落ちて来ていると思いますし。その中で、もうちょっとプロデューサーが頑張ってリスクのある企画を立てたりできるといいんですけど。おそらく安倍さんはどう考えても脚本を書けるとは思えないし。当初は監督とプロデューサーとの区別がつかなかったんじゃないですか? それで、「自分はいろんなところからお金を引き出してくるのが得意だから、プロデューサーだな」となったのかも。

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