安倍がVTR放映を強行したのは「総裁選告示前の最後のチャンスだから」
今回の安倍首相の出演は、百田や萩生田光一・自民党幹事長代行なども調整に当たったといい、当初はスタジオで生出演する方向で打診。安倍首相側も「生放送でやっているのが醍醐味の番組なのだから、生で行くのがいいですよね」と乗り気だったらしい。多くの国民が視聴する地上波ではない、ネットのネトウヨ番組にどこまで力を入れているのかと呆れるが、ただ、放送時間帯は閣議などもあり忙しいため収録となったというのだという。さらに、そこからも一悶着があった。
「じつは収録も今週の後半にやる予定だったんですけれども、総裁選が明日、告示なんですね。ですから、告示より前に、えー、やると。なぜならば、一応、自民党の総裁選というのは、じつは公職選挙法の範囲ではないわけですけれども、しかし、それに準ずるかたちでやるという方針です。ですから単独インタビューというものは、その前に、それぞれ自由にやろうという期間にやったほうがいいだろうということでですね、じつは急遽、収録の日にちも早まって、我々もだいぶ泡食ったということがあるんです」
本サイトでもお伝えしたようにhttps://lite-ra.com/2018/08/post-4215.html、自民党は8月28日に新聞・通信各社に対し、総裁選での「公平・公正な報道」を求める文書を配布。候補者のテレビ出演や新聞へのインタビュー記事は同等に扱えというもので、安倍首相は対抗馬である石破茂・元幹事長との直接対決から逃げる一方で、石破氏単独のメディア露出を潰すため、新聞・テレビに圧力をかけたのだ。
だが、そうやって公選法と同じルールをメディアに課した以上、今回の『虎ノ門ニュース』出演も告示後の放送とするわけにはいかなくなる。そのために、安倍首相はきょうの放送をやめるよう申し入れなかったのだ。
ようするに、北海道で発生した大地震で被災し不安の只中にある国民がどう思うかという感情や、総理大臣としての態度よりも、総裁選を控えてネトウヨにアピールするためのネット番組のインタビュー放送のほうを安倍首相は選んだのである。
有本は生放送のスタジオトークのなかで「こういうことになりましたんで、今朝、こういう番組を流していると、また『安倍総理はけしからん! こんなときに!』という勘違いをされてはいけないと思いますので」と言い、3日に収録済みのものだと強調したが、この最中に放送を許している、その安倍首相の姿勢は批判を受けて当然の話だ。
そして、西日本豪雨での「赤坂自民亭」問題や、昨日の台風21号の被災地を無視して、首相としての公務ではなく総裁選の票固めという私的用件のために新潟に出かけた件を含め、安倍首相がいかに被災者を棄民扱いしているかということが、これでハッキリしたと言えるだろう。
(編集部)
最終更新:2018.09.06 12:40