接待した側に野党の人脈があるため、官邸は捜査を黙認して世論操作に利用
文科省はアウトで、なぜ安倍首相と加計学園は見逃すのか──文科省汚職問題に際し、そうした疑問の声が上がるのは当然のことだが、それにしても特異なのは、今回、事務次官にまで捜査の手を広げた東京地検特捜部のイケイケぶりだろう。
この特捜部の動きをめぐっては、ネット上でも「やはり安倍官邸が加計問題の報復で文科省潰しのために裏で糸を引いているのでは」という見方が広がっている。その一方で、安倍応援団やネトウヨたちは「文科省こそ悪の巣窟」「事務次官が接待を受けていたということは、前川喜平も同じことをやっていたはずだ」などと文科省と前川氏への批判を強めている。
しかし、前川氏と、逮捕された佐野被告や川端容疑者、そして事情聴取を受けた戸谷事務次官とは、むしろ派閥的には対立関係にあった。
「佐野氏も川端氏も、そして戸谷事務次官も全員が科学技術庁入庁組。“旧科技庁のドン”といわれる沖村憲樹氏の一派でした。沖村氏は官邸や自民党大物議員に顔が利く人物で、前川氏が引責辞任した文科省の天下り問題でも、沖村氏が率いる旧科技庁組の天下り問題は表沙汰になりませんでした。そういう構造のなかで旧科技庁の官僚は意識が甘く、腐敗しきっていた。たまたま特捜部が文科省にメスを入れたら、内部調査でも守られ、野放しになっていた旧科技庁組の不正が次々に出てきたということのようです」(文部科学省担当記者)
しかし、この特捜部の動きを、安倍官邸が「黙認」しているのは事実のようだ。
「都合が悪い捜査だったら、官邸は絶対に介入するはずです。森友問題で佐川宣寿・前理財局長ほか職員全員が不起訴に終わったのも、法務省を通じて官邸からの圧力があったためです。しかし、文科省については、本来は官邸に近いグループの汚職であるにもかかわらず、官邸はまったく圧力をかけていない。おそらく、接待した側の谷口被告に旧民主党につらなる人脈があり、野党にダメージを与えられる可能性があること、そして、加計問題で不正を訴えた文科省を捜査させることで他省庁への見せしめになることから、あえて黙認しているんでしょう」(司法担当記者)
つまり、この文科省の不正を世論操作に利用しようという安倍官邸に乗っかって、特捜部も心置きなく捜査をしている。そういうことらしい。
本来の捜査ができるかどうかは官邸次第──。だからこそ、文科官僚の140万円飲食接待がアウトで、安倍首相の加計接待は捜査が入ることなく見逃されてしまうのである。そして今回、谷口被告が安倍首相と同じ主張を繰り広げて容疑を否認しているのは、安倍首相の子どもの言い訳を通用させてしまった結果だ。「総理大臣がOKで、なぜ自分はなぜダメなのか」というモラルハザードが、すでにもうこの国では起こっているのである。
(編集部)
最終更新:2018.08.02 10:09