カジノ法案で得するのは、安倍首相とトランプの“お友だち” だけ
先月1日の衆院内閣委員会でこの件について追及された安倍首相は「そんな事実はまったく一切なかった」とごまかしたが、朝食会にカジノ企業トップが顔を揃えていたことは認めている。
さらに、安倍首相と、カジノ進出を狙うセガサミーホールディングス会長の里見治氏との“蜜月関係”も報じられているとおりだ。セガサミーといえばパチンコ・パチスロ最大手の企業だが、2012年に韓国のカジノ企業と合弁会社を設立し、昨年4月には韓国・仁川に大型カジノリゾートをオープン。カジノが解禁されれば、その恩恵を大きく受ける。安倍首相と里見会長の出会いは第一次安倍政権時だと見られ、少なくとも首相動静によれば2007年1月や2013年4月24日に会食。また2013年9月に開かれた里見会長の愛娘と経産官僚出身の鈴木隼人氏(現・自民党衆院議員)の結婚披露宴では、安倍首相が新婦側の主賓を務めていた。
安倍首相と里見会長の関係については、金をめぐるキナ臭い噂も流れている。たとえば、「選択」(選択出版)2013年9月号の記事では、セガサミーの関係者が「安倍首相は、里見会長の元に直接訪ねてくるほどの間柄」と語ったり、セガサミー社員が〈業界団体の集まりで「安倍首相はウチが落とした」と公言してはばからない〉ことなどを紹介。その上で、里見会長の側近の一人が「参院選前に、里見会長は安倍首相に五千万円を手渡した」と吹聴している、と伝えている。
もっともその真偽は定かではないが、いずれにせよ、安倍政権がカジノ関連企業の利権のために法案をゴリ押ししているのは疑いない。12日の参院内閣委員会では自由党の山本太郎議員が「命より利権、人々の生活より博打解禁、被災地よりアデルソン(ラスベガス・サンズCEO)やトランプなどへの貢ぎ物」と批判したが、まさにその通りだろう。
カジノ法案をめぐっては、賭博の例外として法務省が掲げる要件のひとつである「目的の公益性」についても明らかに破綻している。13日に参院内閣委員会でおこなわれた参考人質疑では、参考人の鳥畑与一・静岡大学教授が山本太郎議員の質問に対し、たとえばラスベガス・サンズの収益のほぼ100パーセントがアデルソン一族に還元されていることを指摘したうえで、「徹底した営利追及の論理が貫徹された世界」と述べた。
何度でも言うが、カジノ法案の目的は、国民をギャンブル漬けにし、ひたすら吸い上げた金で安倍首相やトランプのオトモダチ企業の懐をいっぱいにすることだ。立法の中心を担う政権与党幹部たちが米国カジノ企業からの“脱法献金”を受けとっていた事実も含め、一部が私腹を肥やす代わりに人々の健康と生活が脅かされる最悪の法案──被災地無視でカジノ法案を成立させようとしている意味を、私たちはよく知るべきである。
(編集部)
最終更新:2018.07.20 11:20