夫婦別姓に反対し、女性蔑視の家父長制復活を狙う自民改憲草案24条
安倍氏は党内議論の初期から、「わが国がやるべきことは別姓導入でなく家族制度の立て直しだ」と語っていたと言われるが(朝日新聞出版「AERA」06年11月13日号)、では、その「家族制度の立て直し」とは何なのか。それは自民党の憲法改正草案を見ればよくわかる。自民党改憲草案の第24条は、現行憲法の「個人の尊厳と両性の本質的平等」の前にこんな文言が追加されている。
〈家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。〉
この家族条項は、家父長制を復活させて女性差別を温存し、さらに、国が担うべき社会福祉を「自己責任」のお題目のもとで家族に押し付けるものだ。彼らが指向するものは、つまるところ「家=国」への絶対的な服従を強制する戦前に回帰した社会である。
夫婦別姓禁止についての民法規定が憲法に反するという裁判はこれまでも起こされており、15年には最高裁で争われた。その時は合憲の判決が出ているが、その背景には安倍政権をはじめとした保守勢力への忖度があったといわれている。
しかし、夫婦別姓に対する社会からの要請は強い。18年に内閣府が行ったアンケートでは、42.5%が賛成と答えており、反対は29.3%であった。夫婦別姓を求める裁判も、今年だけで3件目である。
前述『アフター6ジャンクション』で宇垣アナは、「それこそね、共働きの方も多いですから。そっちのほうが仕事にも不利益出ない方、絶対多いと思うんですけどね」「選択肢の増えることのなにがいけないのかがわからないです」と語っているが、選択的夫婦別姓を認めるか否かは、日本の社会が多様性を肯定するものになるのか、それとも、家父長制の復活を是とするものとなるのかの分水嶺のひとつでもある。今後もこの裁判に注目していきたい。
(編集部)
最終更新:2018.06.25 11:45