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元家族会副代表・蓮池透インタビュー

米朝会談でもトランプ任せの安倍首相に蓮池透が怒りの告白!「安倍首相は本気で北朝鮮と向き合う気がない」

圧力一辺倒で北朝鮮との交渉カードをもっていない安倍政権

──たしかに、北朝鮮は基本的に「拉致問題は解決済み」という姿勢を崩していない。交渉はかなり難航しそうです。

蓮池 そもそも北朝鮮は拉致問題の再発防止を約束した2002年の平壌宣言に基づいて「解決済み」としているわけですね。一方、安倍首相はここにきて「平壌宣言に立ち戻る」というキーワードをしばしば持ち出していますが、それにのっとれば、日本政府は北朝鮮のいう「5人生存、8人死亡」を認定せざるをえない。安倍首相が「全員の即時帰国」を要求するのなら、これは矛盾です。
 だから重要なのは解決済みと言わせない情報をいかにもっているかなんです。インテリジェンスですよね。拉致被害者の誰がどこにいるのかという情報を独自に掴み、水面下で北朝鮮に突きつけて「これで解決済みと言えますか?」と迫る。それが外交というものでしょう。こうした情報を突きつける以外に、方法はない。それができないのなら、元の木阿弥です。
 ところが、日本はその突きつけるべき情報を全然もってない。特に安倍政権は圧力一辺倒で、そういう努力をまったくしてこなかった。

──ほんとうに日本政府は情報をもっていないんですか?

蓮池 弟は日本政府がインテリジェンスをもっているはずだと言いますが、わたしは経験上、そうは思えない。日本政府が誰から情報収集をしているかといえば脱北者、韓国国家情報院関係者、中朝国境の朝鮮族、その程度ですよ。そのような人たちから、情報が取れるわけがないじゃないですか。ガセネタつかまされるだけです。海外への多額の経済支援の一部を使えば、十分に可能だと思うのですが。それと、情報を取るためには、官僚が動くしかないのですが、その官僚が安倍政権下では機能していないですからね。財務省や経産省だけでなく、外務省も「忖度官僚」ばかりになってしまった。しかも、拉致問題については、「下手に動いたら、田中均さんの二の舞になる」という恐怖がある。

──たしかに、独自ルートを使って小泉訪朝を実現させた田中均・外務省アジア大洋州局長(当時)は、そのあと、当時の官房副長官で反北の急先鋒だった安倍氏の扇動によって「北朝鮮の手先」「国賊」という大バッシングを受けました。

蓮池 いまでは日本はもっと安倍支配が進んだから、それ以上のバッシングになるのが目に見えている。とにかく、安倍首相が圧力、圧力と言っているときに、忖度官僚が水面下で対話して情報を取るなんてやりっこない。そんな状態で時が経って、今頃になって、急に情報もってこいといわれて、取れるはずもないですしね。

──じゃあ、このまま、安倍首相が金正恩と首脳会談をやったとしても、日本が「全員返せ」、北朝鮮が「解決済み」と水掛け論で終わる可能性が高い、ということですか。

蓮池 というか、それ以前に、安倍首相が日朝首脳会談を本気でやる気があるかどうかも疑わしいですよね。金正恩氏に解決済みと言われて帰ってきたら、それこそ政権がもたない。いま6月でしょ、総裁選を控えて大胆なことはやらないのではないでしょうか。
 だいたい、安倍首相が本気で拉致被害者を取り戻そうとしていないのは、日本政府の準備体制をみてもわかりますよ。日本政府には、いまも被害者がもし帰国したらというシミュレーション、受け入れ態勢すらない。それでただ拉致被害者の帰国と言っている。弟が帰ってきたときと受け入れ体制は変わっていないんです。月額十何万円出すから自立しろって、その方針は変わっていない。そんなことで、帰ってきますか? 帰れますか? 
 もう一点は、拉致されて40年以上も経って、むこうでファミリーが構成されているわけですよね、子どもや孫もいるし。家族の誰かが北朝鮮の人と結婚していたりしたら、ファミリーのなかから、被害者だけをピックアップして、「あんただけ帰ってください」と言われて帰れますかね?
 そこまで考えてないんですよ。受け入れ態勢やバックアップの問題を、これを前回の被害者帰国からまったく学んでいない。「帰国したら一生面倒みます」くらいのことをしないと駄目だし、ファミリー全員連れ帰るのは無理でしょう。当事者が「わたしは家族と北朝鮮で曲がりなりにも暮らしているんで、生活が不安な日本には行きたくない」と言うかもしれない。子どもや孫の環境、語学、学校の問題だって発生する。そういう場合、どうするのですか? 国交があれば行ったりきたりできるけど、それがない。拉致問題を本当に解決しようと思えば、ピンポイントで被害者だけ帰ってこいというだけではなく、国交正常化や被害者とその家族が行き来できるような特別措置とか、よく考えておかなければならない問題なんですがね。

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