今井首相秘書官、杉田官房副長官“進言のいきさつ”が物語るものとは?
以前から、明確な間違いを指摘されても話をすり替えて絶対に謝罪をしない態度から「『謝ったら死ぬ病』にでもかかっているのか」と指摘されてきた安倍首相だが、このときも今井首相秘書官らの進言に耳も貸さず、陳謝するどころか逆ギレして「総理も国会議員も辞める」と啖呵を切ったのだ。
だが、ここで重要なのは、官邸が当初から安倍首相の国会答弁を主導し、なかでも今井首相秘書官が調整役を担っていた、という事実だ。問題をいかに収束させるかを念頭に置いていた今井首相秘書官にとっては、安倍首相の「総理も国会議員も辞める」発言によって大きな火種を抱えたことになる。今井首相秘書官をはじめとする官邸側が、昭恵夫人の関与を示す証拠の取り扱いについて神経を尖らせたことは想像に難くない。
実際、財務省の内部調査結果でも、同月21日におこなわれた野党の国会議員団による小学校建設地の現地視察の段階で、〈あらかじめ本省理財局と近畿財務局との間で相談の上で、当日用の応答要領が作成されて〉いたと認めており、さらには〈政治家関係者からの不当な働きかけはなかったこと等のほか、仮に問われれば、政治家関係者から照会を受けた際の応接録は残されていない旨も回答することとされていた〉とも綴られている。ようするに、昭恵夫人の関与を示す交渉記録を「ない」と言い切ることは、21日以前から決まっていた、ということだ。ちなみに、佐川宣寿・前理財局長が「交渉記録は破棄した」と断言し始めたのは、同月24日のことだ。
何度も言うが、昭恵夫人がかかわる問題だと官邸も財務省も認識しているなかで、このような「応接録は残っていない」という隠蔽工作を、財務省の一存でおこなうことはあり得ない。少なくとも21日までに、官邸が指示するかたちで昭恵夫人の関与を示す文書や記録を隠蔽する方針が固められていたと見るべきだろう。
しかも、官邸が文書の改ざんや記録の破棄を主導していたことの証拠は、これだけではない。昨日、共産党が公開した、「航空局長と理財局長との意見交換概要」にも、官邸が財務省に森友対応を指示していた形跡が残されていたからだ。
この概要は、2017年9月7日に財務省の太田充理財局長と中村稔総務課長、国交省航空局の蛯名邦晴局長と金井昭彦総務課長の4名が会計検査院の検査や国会対応への協力関係を確認し、意見交換をおこなった際の発言録だ。このなかで、太田理財局長は何度も「官邸」という言葉をもち出し、官邸の意向を気に掛けている。
たとえば、蛯名航空局長が「変な相手に対してリスクを遮断するために「瑕疵担保責任」の考え方で見える範囲で最大限の見積もりをしたと言えるかがポイント」と言うと、太田理財局長はこう答えている。
「籠池夫妻が相当な人たちだとのイメージが進む中で、そのような答弁をすることについて、気持ちは同感だが、今までの答弁との関係で、開き直った答弁だと思われないかなど官邸との関係を含めてメリデメをもうちょっと考えさせてほしい」