日本大学HPより
日大アメフト部の危険タックルをめぐる騒動が依然として収束しない。それはもちろん日本大学とその上層部の対応がひどすぎるからだ。
20歳になったばかりの加害者学生が実名・顔出しで「潰せと指示があった」と告白したにもかかわらず、日大も内田正人前監督も「受け取り方の違い」と、まるで安倍政権ばりの不誠実なごまかしを続け、先日の会見ではあろうことか、司会者が報道陣に逆ギレするという醜態まで演じる始末だった。
刑事事件にも発展しかねない大問題が勃発しているというのに、れっきとした教育機関がなぜ、こんな対応を平気でできるのか。
いや、日大が異常なのは最初からだ。加害学生の会見や取材によって、内田前監督が計画的に学生を追い詰め、“悪質タックル”を無理やりやらせたことが確定的になったが、その内田前監督は日大の常務理事で、人事部長なのだ。学生に犯罪行為を強制するような人物が経営幹部の座に座り、人事を牛耳る大学とはいったいなんなのか。
しかも、この大学は学生を追い詰めて犯罪行為に走らせたあと、事件が顕在化すると、今度は一転して、すべてを“鉄砲玉”に責任をおおいかぶせて、知らぬ存ぜぬを決め込んでいる。これではほとんど暴力団と同じではないか。
これは比喩ではすまない。日本大学には実際に組織のなかに暴力団的な体質が浸透しており、それがこういう事件と反省のない事後的対応を引き起こしているのではないか。
そう思うのは、日本大学の最高権力者に暴力団との関係の噂が絶えないからだ。
その最高権力者とは、“日大の首領”の異名を持つ田中英壽理事長だ。日大相撲部出身で、日大相撲部監督に就任したのを足がかりに、常任理事、そして2008年トップにのぼりつめた田中理事長は、いまや学内では「誰も田中理事長には逆らえない」といわれるほど絶大な権力を握っている。さらに、日本相撲連盟の役員を務めるなど相撲界にも大きな影響力をもち、日本オリンピック委員会(JOC)でも副会長という要職を務めていたこともある。
そして、今回の事件を引き起こした内田前監督は、この田中理事長の子飼いなのだ。内田氏が常務理事にまで出世したのも、いま、こんな事件をひき起こしながらその常務理事を辞任せずに済んでいるのも、すべて田中理事長の存在、威光にほかならない。