財務省の森友優遇措置は、“安倍夫妻案件”であることを知ったことが出発点
これはようするに、「対応できない」という近畿財務局の方針に対して財務省が難色を示し、近畿財務局は豊中市と協議をおこなったものの、豊中市の対応はやはりノー。これに財務省が納得せず、近畿財務局が食い下がった結果、最終的には豊中市も対応を変え、当初の「できない」という方針が「できる」とかたちを変えた。そういうことではないのか。
財務省との「相談」によって、最後には森友の要望を聞き入れる内容に変わっていく、この「本省相談メモ」。──それにしても、どうして財務省はここまで近畿財務局に森友優遇を迫ったのか。その理由は、やはりあの人の存在にあった。
そう。この「本省相談メモ」には、2014年5月8日の最初の文書から、「本事案の経緯について」という時系列でまとめた文章が付けられていた。そして、「H26.4.28」の項目には、森友からの要望と合わせて、昭恵夫人との関係が綴られているのだ。
〈同日の打合せの際に、「平成26年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との説明を受ける(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示して説明)〉
さらに、この「本省相談メモ」の5月9日分には、〈「学校法人 森友学園」の概要等〉という文書が付けられており、そこには籠池泰典理事長が「日本会議大阪 代表・運営委員」であること、そして日本会議国会議員懇談会の説明には〈副会長に安倍晋三総理〉と明記されているのである。
つまり、森友を優遇するかたちで異常な取引がおこなわれるようになったのは、安倍夫妻がかかわる案件だと認識した財務省による意向が強く働いた結果だったのだ。昭恵夫人が名誉校長に就任する約1年前から、財務省は森友の小学校設立が“安倍夫妻案件”だと知っていたのである。
しかも、この「本省相談メモ」には疑問点がある。決裁文書のなかでは「H26.4.28〜H26.5.23本省相談メモ」と題されていたのに、今回、提出された文書は平成26年5月8日〜23日までのもの。肝心の4月28日の文書が含まれていないのだ。
この点については、今後、さらに追及がおこなわれると思われるが、土地取引において昭恵夫人の存在が方向を大きく変えたことは、これで明確になったと言えるだろう。
一方、その疑惑の当事者たる昭恵夫人は、昨日、安倍首相の永年在職25年の表彰式に出席するため、なんと国会にのこのこと現れた。この厚顔さには呆れるほかないが、昭恵夫人には今度は追及を受ける身として、国会に来ていただかねばならない。
(編集部)
最終更新:2018.05.23 10:57