日大二高アメフト部出身のオードリー若林のアメフト愛
しかもふたりは、アメフトへの愛情が深く、2010年からは『オードリーのNFL倶楽部』(日本テレビ)のMCも務めるなど、さまざまなメディアでアメフト愛を語ってきた。
とくに、若林はアメフトについて高い見識をもっており、『オードリーのNFL倶楽部』のなかでは、ひとつのプレーをスローモーションで再生しながら、その数秒のなかで同時多発的に発生している選手同士の駆け引きや戦略を若林自ら解説するコーナー「若林の熱視線」を担当している。しかも、そうしたなかでしばしば語ってきたのが、アメフトが「野蛮なスポーツ」でなく、いかに知的で戦略的なスポーツであるかということだった。
前述のテレビ番組のコーナーを書籍にまとめた『オードリーのNFL倶楽部 若林のアメフト熱視線』(文藝春秋)で若林はアメフトの魅力をこのように語っている。
〈アメフトのアメフトたる所以というのは、本当の意味で“捨てプレー”がひとつもないこと。だって1回1回プレーを止めて、作戦を練るスポーツなんて他にないでしょ。(中略)オフェンスであれば誰かがゲインし、ディフェンスであれば誰かがブロックする。つまり、ひとつひとつのプレーに明確な意図があり、誰かのファインプレーが隠されているわけですよ。捨てプレーがないから、一瞬たりとも気が抜けない。すべてのプレーが面白いし、そこには必ずデザインされた意思があるんです〉
こうした知見とスタンスをもっている若林だから、今回の日大の悪質タックル事件についても、おそらく思うところも言いたいこともはたくさんあるだろう。
若林は「週刊文春」(文藝春秋)18年2月8日号掲載「阿川佐和子のこの人に会いたい」では、「アメフトって体格や技術で負けていても、作戦次第、もっというと卑怯なプレーで勝つことができるんですね」という発言をしていたが、今回の事件をめぐってなにが「許される卑怯」でなにが「ありえない卑怯」かということもきちんと語ることができたはずだ。
しかし、若林も日大卒の春日もいまのところ、この事件についてなにも語っていない。ふたりがパーソナリティをつとめる『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)ではしばしばアメフトの話題になるため、先週土曜日の放送で何か発言があるのではないかと思われたが、結局、なにもなかった。