組み体操が危険なものであり、場合によっては生徒たちに生涯消えない傷を残す可能性もあることを指摘した『NEWS23』(画像は1月30日放送分『NEWS23』より)
死亡事故も含む重大事故が相次ぎ、問題性を指摘され続けている「組み体操」問題。1月30日放送『NEWS23』(TBS)では、「学校のモンダイ “感動”と潜むリスク 組み体操相次ぐ事故のウラ側」と題し、学校現場における組み体操をめぐった動きを特集していた。
特集ではまず、いかに組み体操が生徒たちを危険にさらしているかを紹介。2015年には、大阪市の中学校で生徒157人が参加する10段のピラミッドをつくったところ、校舎の2階よりも高いその山が崩壊する事故が起こっている。これにより、男子生徒1人が右腕を骨折する大けがを負ったほか、5人の生徒も打撲などのけがを負った
また、16年には広島の中学校で、生徒が3段に重なる移動式ピラミッドの2段目にいた男子生徒が運動会の2日後に脳内出血のため死亡。落下するとき後頭部に強い衝撃が加わったのがその要因と考えられ、遺族は「事故を未然に防ぐ安全対策を講じていなかった」として学校側を相手どり、約9600万円の損害賠償を求める裁判を起こしているケースも紹介されていた。
『NEWS23』には、実際に組み体操で大けがを負った女子生徒も出演。インタビューに応じた彼女は、小学校6年生のとき、1段目6人、2段目5人、3段目3人、4段目1人で構成される高さ3メートルの4段タワーの一番下におり、タワーが崩壊した際に左肘を複雑骨折した。1年の間に3回もの手術を余儀なくされるような大けがで、事故から4年経った現在でも完治はしていない。寒い日には痛みが走り、以前のようには肘が曲がらないという。
組み体操をめぐっては、昨年度だけで5271件もの事故が起こっており、1969年以降の統計をまとめると、これまでに死亡事故は9件、障害の残る大けがも102件起きているという。
こういったデータがある以上、組み体操を生徒に強いることが危険なことはわかりきっているのにも関わらず、なぜ現在のような状況になっているのか。『NEWS23』の取材に名古屋大学大学院の内田良准教授はこのように語っている。
「組み体操に対する根強い期待というかですね、『感動するからいいじゃないか』みたいな。『来年はもっと盛り上げよう』という、そういうかたちで組み体操は巨大化してきたと」