八代弁護士の発言の背後には“韓国憎し”の感情があるとしか思えない
もちろん、八代弁護士が唱える南北の軍交流が本当に実現するなら、それはそれで結構なことだ。このタイミングでもし韓国軍幹部が北朝鮮の軍事パレードに招待され、観閲するなどという展開になったら、北朝鮮vs日米韓という対立構図の枠組みが崩れ、それをきっかけに朝鮮半島の緊張が緩和される可能性もある。
しかし、朝鮮戦争はまだ休戦状態にすぎず、終結していない。しかも、北朝鮮が核開発をどんどん進めているいまの状況で、さすがにそんなことができるはずがないだろう。実際にやったら、韓国が国際社会から袋叩きにあうだろうし、それ以前に、米韓合同軍事演習にナーバスになっている北朝鮮が韓国をパレードに招くはずがない。どう考えても、八代弁護士の主張は荒唐無稽なファンタジーでしかないのだ。
ただ、そんなことは、国際派弁護士を名乗る八代氏だってわかっているはずだ。いや、国際派とは関係なく、中学生でもわかる。にもかかわらず、八代弁護士がこんな無茶苦茶を強弁し続けたのは、“韓国憎し”のあまりだろう。
前述のように、八代弁護士はとにかく、韓国に対する嫌悪感が半端なく、最近は平昌五輪を徹底的に攻撃していた。そんな八代弁護士にとって、韓国が平昌五輪に北朝鮮を招待して、平昌五輪をきっかけに朝鮮半島の緊張が緩和しそうなことは我慢ならなかったのだろう。そのため勢い余って、“オリンピック一緒にやるなら軍事も一緒にやれよ”と子どもみたいな無茶苦茶な理屈で、韓国をディスり、一方でつい北朝鮮を擁護してしまったのではないか。
しかも、その裏側には“韓国が北朝鮮と一緒になってくれれば、思う存分、韓国を攻撃したい”という個人的願望さえ透けて見えていた。
北朝鮮問題を語っているうちにいつのまにか北朝鮮よりも韓国攻撃に夢中になるというのはなんとも倒錯的だが、実は、この倒錯は、ネトウヨにも共通するものだ。実際、ヘイト的な言論をみても、この状況下でさえ、北朝鮮よりも韓国ヘイトのほうが圧倒的に多い。
そう考えると、今回の発言は八代弁護士の普段の韓国中国批判がプラグマティズムにもとづくものではなく、むしろ差別感情にもとづいたネトウヨに近いということの証明とも言えるだろう。
ちなみに、八代弁護士がもしこの記事を読んで、自分の韓国批判が感情的なものでないというなら、ぜひ、今回の韓国と北朝鮮の軍事交流という計画をこれからもブレることなく主張し続けていってもらいたい。八代弁護士のような右派コメンテーターが一回転して、こんな究極の平和主義的主張をするのは、それはそれで、なかなか意義深いとは思うので……。
(編集部)
最終更新:2018.02.01 12:52