第二次安倍政権発足から一転、安倍首相を激しく批判する側に転じていた西部氏
たとえば今から3カ月ほど前の「DIAMOND online」(2017年10月3日)インタビューで西部氏は安倍首相についてこう辛辣に批判していた。
〈口にするのも辟易してしまうような論点ですね。残念ながら、日本は保守という言葉の意味をきちんと理解しようとしない人ばかりのように思える。私はそうした人々に憤りを込めて、あえて「ジャップ」と呼んでいます〉
そして本来の保守とは〈その国のトラディション(伝統)を守ること〉だとして、安倍首相の姿はそこからかけ離れていること、さらにアベノミクスについてもこう断じている。
〈アベノミクスにおいて、安倍政権が国土強靱化をはじめとするインフラ投資に躍起になっていることは嘆かわしい。あまりにも近視眼的で、ただ橋を何本つくり替えるとかいった施策を進めているだけに過ぎないからです。国のインフラ(下部構造)を整備するに当たっては、まずはスープラ(上部構造=日本社会の今後の方向性)についてしっかりと議論することが大前提。 しかし、それがまったく欠如しているのが実情です。
これで保守と言えるのでしょうか。〉
さらにアメリカの顔色ばかり伺う安倍首相の対米追従姿勢、治外法権の米軍基地についても〈どうして保守がそのような振る舞いができるのかは甚だ疑問だし、大問題であると僕は考えています〉と断じている。
また「月刊日本」(ケイアンドケイプレス)15年6月号でもアメリカとの関係に100%絶望しているとして、〈戦後レジームからの脱却を唱えていた安倍首相の訪米によって、日本の属国化あるいは保護領化は完成したわけですから。事実上の属国は名実共に完全なる属国と化した。ポイント・オブ・ノーリターンを超えた以上、もはや独立の道に戻ることはできないでしょう。以後、日本は属国という隘路をひたすら突き進むほかないのです〉と述べてもいた。
さらに「AERA」(朝日新聞出版) 2017年12月18日号ではウーマンラッシュアワー村本大輔と対談し、安倍首相への批判を繰り返している。
〈デモクラシーなんぞは代表者を選ぶための手続きに過ぎないのですが、民衆の多数派がアホなら代表者もアホで、選ばれたアホな代表者はアホな決定をすることが多い。〉
〈安倍さんとは彼が最初に総理を辞めた後、1年間研究会を開いて正しい保守についてレクチャーをしていました。そのうえで気に入らないことを言わせてもらえば、日米同盟の下で安保法制をつくったことです。僕は安保法制自体には何の問題もないとの立場で、自衛隊が行く必要のある特殊事情があるなら、地球の裏側でも行け、鉄砲も撃てと思う。だけど、それを米国のような国とやるな。米国は北朝鮮の核武装はけしからんと言っておいて、自分たちの友好国のイスラエルなどには、どんどんやれと言っているような国です。〉