田亀源五郎「自分の価値観を他人のジャッジに委ねる必要はない」
田亀氏は前掲『ゲイ・カルチャーの未来へ』のなかでこのように綴っている。これは、先に述べてきたような「不寛容」が広まる社会において重要な提言だろう。
〈この社会は何かにつけて「これが正しい」「これが美しい」と、画一化された価値観を押しつけてくる。それに負けてしまう人も少なくないだろう。しかし、自分の価値観を他人のジャッジに委ねる必要はない。
あなたの生き方を選ぶのはあなたでいい〉
「自分の価値観を他人のジャッジに委ねる必要はない」「あなたの生き方を選ぶのはあなたでいい」。そのような考えを自分のものにするためには、逆に、たとえそれが自分とは違う生き方であろうとも相手の生き方を尊重し、差別や偏見などをぶつけないことが必要となる。
『弟の夫』という作品は、まさに「あなたの生き方を尊重すること」の大切さを伝えるものであり、弥一がマイクとの交流を通じてそれを理解していく成長物語でもある。
『弟の夫』は、「多様性の許容」が失われつつある現在だからこそ生まれるべくして生まれた作品である。漫画・ドラマともども、多くの人に愛されるものになることを願う。
(編集部)
最終更新:2018.08.20 01:30