自身に批判的な報道を「フェイク」「デマ」と叩くのが、安倍首相の常套手段
「情報を発信する側が適当にまとめたような記事は、もはや通用しません。結論ありきの記事も通用しない。すぐに検証されてしまうので、事実に当たり、事実に基づく報道だけが通用する時代に繋がっていくのでしょう」
ネトウヨまとめサイト「保守速報」をFacebookで堂々とシェアする人の発言だと思うと、苦笑いしか浮かばない。だが、安倍首相はその上、有本氏に「トランプ大統領と初めてお会いになった際に「実はあなたと私には共通点がある。あなたはニューヨーク・タイムズに徹底的に叩かれた。私も朝日新聞に徹底的に叩かれた」と総理が仰って意気投合した、と報じられています。これは事実ですか?」と尋ねられ、こう返答をしている。
「ははは。私は朝日新聞を敵だと思ったことはありません。むしろ、「鍛えていただいてありがとう」という気持ちです」
“「日教組・共産党・朝日新聞」叩き”が大好物の安倍首相が、白々しいにも程があるだろう。先の国会で安倍首相は、籠池泰典前理事長が財務省に提出した設置趣意書に「安倍晋三記念小学校」と記したと朝日新聞の取材に証言した一件を1日で2回も取り上げて、「朝日新聞は籠池容疑者が言ったことを鵜呑みにした」「ファクトが根本から違っている」とがなり立てていたではないか。そもそも昭恵夫人の過去の発言からも、安倍首相が自分の名前を冠した小学校がつくられることにまんざらでもない様子だったことが明らかになっているが、そうした事実はなかったことにして、安倍首相は自らの疑惑を指摘する報道を「フェイクだ」「デマだ」と全否定することで不正そのものをなかったことにしてしまおうとしているのだ。いつもの常套手段である。
だいたい、わざわざ約1時間も時間を割いてまで独占インタビューに応じるなど安倍首相が贔屓にしているこの「月刊Hanada」同号の「総力大特集」は、「朝日虚報と全面対決!」というもの。小川榮太郎による「朝日の抗議文を完全論破」という記事にはじまり、日本維新の会・足立康史議員の「朝日は、やっぱり「死ね!」」、上念司「朝日はいつ潰れるのか」などなど、計6本もの朝日バッシング記事を掲載。ちなみに、同誌は前号で「安倍首相にもっとも近いジャーナリスト」だった山口敬之氏が、レイプ疑惑の論点を逸らしてTBSの金平茂紀氏や東京新聞の望月衣塑子記者を攻撃する記事を執筆している。
安倍首相に溜飲を下げてもらおうと必死に朝日叩きとモリカケ陰謀論に精を出すお友だちが集うメディアに逃げ込み、慰められ、被害者ヅラをする。これで国民に納得しろというほうが、どうかしているのである。
(編集部)
最終更新:2017.12.23 08:04