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文春も報じた「慰安婦像の正体は米軍事故被害者」は完全なデマだった! 官邸とネトウヨ情報に丸乗りし印象操作

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岡本有佳・金富子責任編集『〈平和の少女像〉はなぜ座り続けるのか』(世織書房)

 戦中の日本軍による従軍慰安婦を象徴する像、いわゆる「慰安婦像」をめぐる日本国内の騒乱はとどまることを知らない。先月、米サンフランシスコ市の慰安婦像受け入れ承認に吉村洋文・大阪市長が姉妹都市関係の解消を宣言したのに続き、韓国釜山市の少女像に対し、姉妹都市の福岡市が年内にも幹部を釜山に派遣、像への懸念と撤去への尽力を求めることが報じられた。

 釜山の少女像は、昨年12月、市民団体が日本総領事館の前に設置したもの。安倍政権は、韓国政府へ抗議するとともに、駐韓大使一時帰国というトンデモ行為で恫喝した。一部報道によれば、今回の福岡の件では、同市の総務企画局長が、前述のサンフランシスコと大阪の事例を例に挙げ、「慰安婦像問題が姉妹都市関係の解消に発展するケースがある」などと伝える方針だという。明らかに、これまでの安倍政権の強行方針を受けて、都市間の国際交流を取引材料にした圧力行為だろう。

 しかも、恐ろしいのは、日本側がこうした国際感覚皆無の暴挙に出ているにもかかわらず、国内マスコミからはその姿勢を批判する声がまったくあがっていないこと。むしろ産経新聞や「週刊新潮」(新潮社)、「週刊文春」(文藝春秋)などは、「慰安婦像問題」をあれやこれやと囃し立て、韓国に対する憎悪と慰安婦問題自体をなかったことにしようとする歴史修正主義を扇動しまくっている。

 とりわけ、先週発売の「週刊文春」12月7日号の特集「『慰安婦像』の正体を暴く!」は、近年稀に見るトンデモだった。文春は「韓国総力取材」と銘打って、サンフランシスコの慰安婦設置問題などを取り上げているのだが、そのなかにこんなくだりが出てくる。

〈一方で、彼らが拠り所とする“オリジナル”の慰安婦像をめぐっては、日本の官邸関係者も注目する「ある噂」がある。
「あの慰安婦像はもともと、慰安婦とは全く関係ない、事故で亡くなった少女をモデルにした像を転用したものだというネット情報です」(別の官邸関係者)
 確かにネットを検索すると、〈慰安婦像のモデルは、〇二年六月十三日、韓国北部の揚州市で、米軍の装甲車に轢かれて死亡した二人の女子中学生の一人〉とする情報が流布している。〉

 ここで文春や「官邸関係者」が言っている「慰安婦像」とは、2011年、ソウル日本大使館前に建てられた、おそらく一般にもっともよく知られている少女像のこと。椅子に腰掛けるチマチョゴリ姿の少女と、誰も座っていないもう一つの椅子が並ぶ。正式な名称は「平和の碑」ないしは「平和の少女像」で、彫刻家のキム・ウンソン、ソギョン夫妻による芸術作品だ。

 ひるがえってつまり、文春は“有名な少女像のモデルは実は慰安婦とは全然関係ない少女だった!”と言っているのである──って、ちょっと待ってくれ。官邸関係者なる人物がいう「ネット情報」とか、地の文の「確かにネットを検索すると」とか……いやいや、それ、完全にネトウヨ界隈のデマだから!

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