首相官邸ホームページより
衆院予算委員会では案の定、森友・加計疑惑の追及から大臣らを盾に逃げ、さらには“森友・加計問題は朝日新聞のフェイク”なるネトウヨ陰謀論に丸乗りして疑惑封じに出た安倍首相。きょうの参院予算委でも木で鼻をくくったような態度で、明らかな自分の誤りを1ミリも認めようとしなかった。
周知の通り、森友問題の国有地格安払い下げについて、会計検査院は十分な根拠が確認できないと断じたが、これに関して共産党の辰巳孝太郎議員が「しかし総理は、適正な処理は自分が調べたわけじゃないんだ、官僚からの説明を信頼し紹介したまでだ、などと責任転化の答弁を行いました」と追及。「値引きは適正ではなかった。それは総理の責任でもある」とあらためて認識を問うたのだ。
だが、安倍首相は「対応している財務省、国土交通省が適切と報告を受けていたので、その理解のうえでの私の発言」と衆院予算委とまったく同じ言い逃れに徹したのだ。
いうまでもなく総理大臣は行政のトップであり、実際に「私は行政府の長でありますから、当然、行政上のさまざまな課題、問題については、最終的に責任を負うのは私であります」(2015年6月18日衆院予算委)、「(新国立競技場白紙撤回問題に関して)いずれにいたしましても、最終的な責任は行政府の長である私にあるわけでございます」(15年8月10日参院予算委)などと嘯いてきたではないか。
安倍首相は「今回の国有地の売却については、財務省や国土交通省から、法令等に基づき適正に手続が行われ、また価格について適切な算定がなされた旨、既に説明しているところであります」(17年3月8日衆院本会議)などと強弁していた。「国有地売却は適正適切」という事務方の主張で批判をはねのけようとしておいて、いざ会計検査院から行政の瑕疵を指摘されると、私の答弁は官僚の説明を紹介しただけです、なんて厚顔無恥にもほどがある。
まあ、振り返ってもみれば、この宰相が第二次政権以降、相次ぐ政権中枢のスキャンダルや閣僚不祥事で、その責任をとったことなど微塵もないのだが、少なくとも事実を認め、「最終的な責任者」として答弁の誤りを国民に謝罪するべきだろう。
ところが、きょうの国会でも結局、最後まで「行政の長として責任を痛感」などの言葉はひとつもなし。もはやこの人は、「過ちは絶対に認めてはならない」との強迫観念にでも取り憑かれているのか、“謝ったら死ぬ病”にでもかかっているのか、とすら言いたくなる。