不可欠なのは助成制限でなくノーベル賞受賞学者も提唱する累進課税強化
ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・E・スティグリッツ米国コロンビア大学教授は、今年3月、経済財政諮問会議に招聘された際、社会的格差を子世代に連鎖させないために必要なのは公的教育の拡充だとした。そこでスティグリッツ教授が日本に必要な政策として提案したのは、所得分配の是正、最低賃金の引き上げ、そして教育チャンスの平等だ。その上で必要な財源について、累進課税の拡大を提唱したという(ロイター3月14日付)。
にもかかわらず、逆進性の高い消費税増税で詐欺的無償化を実行するのはむしろ事態を悪化させるばかりだ。無論、筆者はすべての教育無償化を実現させるべきだと考えるが、そのためにはスティグリッツ教授が提唱するように累進課税の拡大という「税制における平等」や、社会保障や福祉への財政出動を推し進めなければ、根本の格差是正や経済活性化は望めないだろう。
しかし、安倍政権がこうした意見に耳を貸しているとは到底思えない。安倍自民党による杜撰な無償化プランを見れば、教育無償化が格差是正のための政策ではなく、選挙用のその場しのぎの甘言だということははっきりしているからだ。一体、これのどこが「国難突破」「人づくり革命」なのか。期待や希望どころか、絶望しか感じられない有り様である。
(水井多賀子)
最終更新:2017.11.21 06:20