テレ朝は『徹の部屋』へのクレーム対応のコメントを用意していた
しかも、見城社長のヨイショ放送にはもうひとつ、大きな問題がある。それは安倍首相が生出演した見城氏の番組『徹の部屋』を放送しているAbemaTVが、テレビ朝日の関連会社だということだ。
インターネットテレビ局である株式会社AbemaTVは、テレビ朝日が40パーセント、サイバーエージェントが60パーセントを出資。取締役会長には早河洋・テレビ朝日会長、代表取締役社長に藤田晋・サイバーエージェント社長が就任、角南源五・テレビ朝日社長も取締役に就いている。
今度はテレビ朝日中堅幹部が声を潜めてこう話す。
「AbemaTVの設立はうちの早河会長とサイバーの藤田社長、トップ同士が独断で決めたものなんですが、この両者を繋いだのも、見城さんなんです。見城さんはテレ朝の番組審議会の委員長を務める一方、早河会長と安倍首相を繋げ、会食を重ねる昵懇の関係をつくり上げたわけですが、その番組審議会に、自分と昵懇の藤田氏も招き入れた。で、見城さん、藤田社長、早河会長の3人がしょっちゅうつるんでいろんな計画を進め始めた。そのひとつが、AbemaTVというわけです。AbemaTVで、見城さんが好き勝手やれる番組をもたせたのはその流れの結果でしょう」
ようするに『徹の部屋』は、テレビ朝日の〈放送番組の適正を図る〉(放送法6条)べき組織に属する人物たちが、他ならぬテレ朝の出資で行なっているネット番組だったのである。そんな番組で、こんな政権PRをやるというだけでも言語道断だが、じつは、今回の安倍首相出演と露骨な放送内容についても、あらかじめ、テレビ朝日側、早河会長は了承済みだったのではないかと言われているのだ。
というのも、テレ朝はAbemaTVと『徹の部屋』の問題を視聴者から指摘される場合に備え、なんとあらかじめ“クレーム対応の文言”まで準備していたというのだ。
「“AbemaTVの放送内容は当社の見解ではなく、かつ、公示前の放送である。当社として問題があるとは考えていない”という趣旨の対応コメントが事前に用意されていたと聞いています」(前出・テレビ朝日中堅幹部)
つまり、『徹の部屋』の安倍首相生出演&激烈ヨイショは、安倍応援団の見城社長とテレ朝最高幹部の早河会長がグルになって、放送法や公職選挙法の抜け道をかいくぐって世に送り出した、意図的な“安倍政権応援放送”だった可能性があるのだ。