“民間人公募校長”制度で起きた不祥事の数々
嵐の櫻井翔が10月スタートのドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ 土曜夜10時)に主演することが発表された。
その物語はエリート商社マンだった櫻井演じる主人公が、経営不振の私立高校の校長として、その立て直しを命じられ赴任するというものだ。櫻井にとって、連続ドラマの主演は2013年の『家族ゲーム』(フジテレビ)以来、4年半ぶりということもあり、スポーツ紙などがこれを大きく報じている。一方、10 月スタートのドラマが4月23日と異例といえる早い段階で発表されたことで、交際が噂されるテレビ朝日の小川彩佳アナウンサーとの結婚まで取りざたされているが、しかし驚くのは、“エリート商社マンが校長に”という物語設定だ。“経営不振の学校”というワードも、ひっかかる。
この設定、どこかで聞いたことがないだろうか。そう、当時の橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」がぶち上げた「教育基本条例」の目玉政策で、2012年度からスタートした“民間人公募校長”制度だった。
この「教育基本条例」は君が代起立・斉唱を義務づけ、また知事が府立学校の教育目標を決めることや、3年連続定員割れした高校の統廃合、学力テストの学校別結果発表、教師を“相対評価”するなどが盛り込まれたもので、なかでも橋下氏が肝いりでスタートさせたのが外部の民間人材を登用する“民間人公募校長”制度だった。
つまりズブの素人をいきなり学校の最高責任者に据えるというものだが、案の定、この“民間人公募校長”制度は、教育現場を大混乱に陥れただけでなく、トンデモない不祥事が相次いだ。
条例が施行された2012年に合格した民間人校長は11人。だが、市立小学校校長となった50代男性の経歴詐称が発覚、罷免免職される。しかもこの男性はその後、女性から現金をだまし取ったとして詐欺の疑いで逮捕されている。さらに、公募で市立小学校の校長となった別の50 代男性が、児童の複数の母親に体を触るなどのセクハラ行為をしたとして懲戒処分に。また授業妨害する生徒を指導せず、若い女性教職員6人に「なぜ結婚しないの」「なぜ子どもをつくらないのか」などセクハラ質問をした市立中学校長が任期を1年残して辞任。また教頭と口論になりって、「間違っていたなら謝るべきだ」と教頭に土下座を強要した中学校長など次々と問題が発覚。結果、11人中、7人もが任期中に離職してしまったのだ。