第一次安倍政権時の政権放り出しエピソードにもネトウヨたちは難癖
どうだろう。ネトウヨたちは「まんがで読む人物伝 安倍晋三」を「捏造」とか「妄想」などといちゃもんをつけて「反日」と攻撃しているが、いったい、何を根拠にそう言っているのだろうか。プリンにしても幼少期のエピソードにしても、ことごとく安倍本人が公言していることや、取材を通じて報じられてきたことだ。逆に言えば、仮にこのマンガが「反日」だというのなら、安倍晋三の人生や言動自体が「反日」ということになるだろう。
なお、幼少期のエピソードのあと、マンガは政治家としての安倍晋三を第一政権誕生から現在までダイジェストで紹介している。「お友だち内閣」の不祥事や07年参院選での歴史的大敗、直後の辞任と難病の告白、総理に返り咲いた後のアベノミクス・安保法制などの政策、そして「安倍1強時代」と言われるほど盤石かに思えた第二次政権が森友・加計学園問題で支持率低下したことまで、いい事も悪い事も、事実をごく普通に紹介しているだけのものだ。
しかし、ネトウヨたちはここにも難癖をつけ、炎上させているのだ。とりわけ、第一次政権での辞任と持病の潰瘍性大腸炎について、マンガに対し〈腹痛を揶揄している〉〈潰瘍性大腸炎を矮小化し、安倍総理個人を小馬鹿にする意図ある〉〈腹痛いどころのレベルじゃないんだけど病気を馬鹿にしすぎだわ〉などと叫んでいる。
だが、「小学8年生」の公式Twitterアカウントも〈難病に苦しまれている方を揶揄するような表現は一切していません。2007年当時、安倍首相が総辞職した一因に、ご自分の病気があったことを告白したことを、あくまで事実として紹介したものです〉と説明しているように、マンガを隅々まで見ても、安倍首相の難病をバカにしている表現は皆無だ。
実際、マンガでは〈そして、2007年7月参議院選挙で大敗した直後〉というナレーションに続き、安倍首相が「突然ですが総理ヤメます」と発言するコマが入り、続いて記者たちの驚く顔が挿入され、〈翌日入院。1年後、自らかいよう性大腸炎という難病になっていたことを告白した〉と再びナレーションで説明。そのコマではベッドのなかの安倍が「じつはおなかがイタくて…」と呟いている。
「まんがで読む人物伝 安倍晋三」より
見ての通り、〈腹痛を揶揄している〉部分などひとつもない。念のためファクトチェックもしたが、事実、安倍は07年9月12日午後に記者会見で辞任を表明。まさに青天の霹靂で、新聞は号外を出したほか、すべてのマスコミが「突然の辞任」と報じた。安倍は辞任表明の翌日に入院。同月下旬の記者会見で体調悪化が辞任の理由と自ら説明し、翌年1月発売の「文藝春秋」に手記を寄せ持病を告白。17歳から潰瘍性大腸炎の持病を抱えており、07年8月に症状が悪化したことなどを綴った。手記のなかでは〈激しい腹痛に襲われ〉と記している。
ネトウヨのクレームは、完全に言いがかり以外のなにものでもない。そもそも、ただの無責任な政権放り出しにすぎなかったのを、安倍首相の言い訳通り、病気が原因と書いあげているのはむしろ擁護的とさえ言えるだろう。