「小学8年生」(小学館)11月号に掲載された「まんがで読む人物伝 安倍晋三」
いま、とあるマンガにネット右翼が激怒し、作者と版元が炎上にさらされている。小学館から発行されている児童向け雑誌「小学8年生」11月号に掲載された「まんがで読む人物伝 安倍晋三」(まんが・藤波俊彦)だ。
全7ページの短編だが、数日前、そのマンガの一部がTwitterにアップされるやいなや、ネトウヨたちがこんなふうに血眼でわめいているのである。
〈悪質な誹謗中傷、それも選挙前に現職の総理を侮辱してタダで済むと思うなよ!〉
〈将来を担う子供達に反安倍を刷り込む学習雑誌。小学館がこんな酷いマンガを掲載する反日出版社だとは知らなかった〉
〈小学生向け雑誌に偏見に満ちた記事を掲載するのは度が過ぎている。まだ正しい価値判断もできない子供に悪印象だけを刷り込もうとしている〉
〈これが事実を書いてるだけだと言うなら、どんな捏造や冤罪も事実だよ。〉
〈安倍首相の子供時代はちゃんと本人に聞いた話か?ただの妄想にしか見えないのだが〉
〈漫画家藤波俊彦氏は故意犯。個人的に思想を持つのは自由だが、偏向した内容で小学生を相手に洗脳をしかける。掲載してしまった小学館にも問題がある〉
〈小学8年生でこのような安倍総理を誹謗中傷するマンガを書いた藤波俊彦とやらはパヨクの活動家なのか?〉
毎度のことながら、安倍首相が題材のマンガを公表しただけで「反日出版社」「捏造」「洗脳」「活動家」とか、連中の表現の自由に対する意識の低さにはほとほと嫌気がさすが、ネトウヨたちは作者の藤波俊彦氏のTwitterにも〈反日くそやろう 日本でろよw〉〈反日漫画家はさっさと半島に帰れ!〉などとヘイトまがいのクレームをつけて炎上させてしまったのだ。
こうした事態に、「小学8年生」の公式Twitterアカウントも釈明に追われることに。10日、編集長の署名で〈第4号は、9月14日に編集作業を終えました。解散の報道がなされ始めたのが9月18日ごろからです。まんがに関しては、今回の衆議院議員選挙とは何ら関係がありません〉などとツイートしたが、ネトウヨたちは聞く耳をもたず、〈これだけの苦情があっても言い遁れして謝罪しない小学館死ね〉〈小学館不買運動だ!〉といきり立っている。
だが、ネトウヨたちが言うように、本当にこのマンガは「捏造」とか「偏見に満ちた」ものなのか。さっそく、本サイトも「小学8年生」を買って読んでみたのだが、結論から言えば、「反安倍を刷り込んでいる」どころか、まったく事実を基にした穏当な人物伝マンガにすぎなかったのである。