安倍政権の外交・安保を絶賛、支持率低下は足を引っ張った大臣のせい
さらに、民主主義を徹底して無視して成立させた、あの安保法制についても、岩田記者はこんなふうに振り返るのだ。
〈安倍は熟議を目指す姿勢を見せた〉
〈怒号やデモ、シュプレヒコールの最中であっても、丁寧な国会審議を国民にアピールしようと努めた〉
〈少しでも多くの野党の理解を得ようと法案の修正も続け、最終的には与野党あわせて五党の賛成を得て、法案を通過させた〉
一体、岩田記者は何を見ていたのだろう。実際は、ほとんどの憲法学者から違憲であるという指摘がなされ、国民からも丁寧な説明・議論が求められていたにもかかわらず、「我々が提出する法律についての説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」などと思い上がりも甚だしい態度でゴリ押したのではないか。それを、「安倍首相〈驕りの証明〉」などと題した記事を書きながら、岩田記者はこのときの安倍首相の姿勢をまったく驕りとは感じていないのである。
もはや熱狂的信者としか思えない岩田記者だが、では、安倍首相の何を「驕り」と言っているのか。最初に指摘するのは、安倍首相が自身の出身派閥である細田派から4名を入閣させた2015年10月の内閣改造。そして〈はっきりと驕りが表れた〉と岩田記者が言及するのは、2016年。ここから安倍首相の国会答弁に粗雑さが目立つようになったと岩田記者は述べ、さらに同年8月の内閣改造を問題にする。
しかしそれも、金田勝年法相が共謀罪法案の審議で〈国会答弁に苦し〉んだとか、〈今村雅弘復興相は失言で交代せざるを得なくなった〉などを挙げ、安倍首相の任命責任を問うでもなくむしろ“足を引っ張った大臣のせい”にすり替え。なかでも、岩田記者が問題視するのは稲田朋美防衛相の抜擢なのだが、その点も〈森友学園問題をめぐる答弁撤回や防衛省の日報問題、都議選期間中の失言などで政権の足を引っ張り、任期を全うできずに退場することになる〉と、完全に安倍政権目線。その筆致は、まるで安倍首相のお気に入りポジションをめぐり岩田記者が稲田氏を敵視しているようで、読んでいるだけで気持ちが悪くなるほどだ。
他方、内閣支持率急落の最大の原因となった森友・加計問題については、〈安倍の焦りが目立った〉〈昭恵への批判が続いた〉だのと矮小化。こうしたなかで安倍首相が〈憲法改正で勝負に出よう〉としたとして、5月3日に掲載された読売新聞独占インタビューについて取り上げるのだが、岩田記者はこんなふうにつづけるのだ。