政権批判をするだけで言い訳をしなければならない異常なメディア状況
そう考えると、やはり『バイキング』で坂上が、露骨に自民党に対するエクスキューズをしたのも、こうした安倍政権とネトウヨたちがしかける炎上やメディアバッシングが“圧力”になっており、そのためにごく普通の権力批判ですら留保するようになったとしか思えないのだ。
実際、昼のワイドショーを見ていると、たとえば加計問題をめぐるこの間の国会の話題では、「民進党もつめきれてない」「野党の質問の仕方が悪い」と言うコメンテーターは山ほどいるが、一方、彼らがそうした発言のあと、「私は民進党にもがんばってほしいから、あえて苦言を呈しているんですよ」などと言うところはほとんど見たことがない。
逆に言えば、仮に坂上が野党をこうも露骨にフォローしていたら、どうだったか。「民進党さんを応援してないのかって? とんでもない!」とか「今のこの状況を考えたら、消去法じゃないけど共産党って思ってる人は多いと思う」などと発言したら、おそらく、ネット右翼たちは怒り狂って、「野党びいきの偏向報道だ!」「放送法を守れ!」「電波止めろ!」などと合唱、ネットが大炎上するのは間違いない。
いずれにせよ、「メディアが“安倍おろし”のために結託して加計問題を捏造している」という陰謀論はこれからさらに拡散し、テレビへの圧力はどんどん強まっていくだろう。ふつうに政権批判をするだけで“言い訳”を重ねなければならないというこの国の異常な状況を変えるためにも、メディアにはこうしたプレッシャーに負けることなく踏ん張ってもらいたい。
(編集部)
最終更新:2017.12.06 04:44