京産大と京都府を利用して疑惑隠ぺいも、説得力ゼロ
「京都産業大学の黒坂(光)副学長もですね、この問題、いわばプロセスについて問題はなかったという、『京産大外し』という、この意向は考えなかったという趣旨のご発言をされているわけであります。とくに納得できない部分はないことの証言もされているわけです」
言わずもがな、京産大と京都府は獣医学部新設の申請者であって、行政の決定プロセスにはタッチしていない。すなわち、いま問題になっている加計ありきの決定プロセスについて、京産大と京都府は知る由もないことだ。その上、京産大は同じ会見で、事業者公募の際に開学が2018年4月と期限が切られていたことから「教員の確保などを考えるとタイトなスケジュールだった。準備できなかった」として新設を断念した理由を明かしていた。一方、今治市と加計学園は18年4月開学というスケジュールを遅くとも昨年8月に内閣府から知らされていたことが証拠として残っているが、安倍首相はこの疑惑をまったく無視するのだ。
さらに、安倍首相はこうも言った。
「京都府知事においてもですね、京都府知事も準備不足だったということを認められる発言をされているわけでありまして、プロセスが適正であったことはそうした発言から裏付けられていると思います」
たしかに、山田啓二・京都府知事は、京産大との会見のなかで「(今治市は)本当に必死でやってこられた」「恨み言を言う気はない」と発言している。だが、じつはこの会見の11日前の7月3日、安倍首相と山田京都府知事は、東京・三田にある会員制クラブ「綱町三井倶楽部」で清家篤前慶応義塾長らとともに会食を行っていることがわかっている。このタイミングから、安倍首相が会食の席でなんらかの説得や懐柔を行ったとみられても仕方がないだろう。
3月13日の参院予算委員会では、はっきりと「私はね、もし働きかけていたのなら、私、責任取りますよ。当たり前じゃないですか」と述べたものの、一転してきょうは「軽々にですね、自分の職をかける等の発言をすべきでないというご批判もありました」と言い出した安倍首相。しかし、“借りてきた猫”のポーズを取っていれば何でも聞き入れられると思ったら大間違いだ。明日の審議ではどんな嘘を吐くのか、ひきつづき注視したい。
(編集部)
最終更新:2017.12.06 04:06