大阪万博アンバサダー就任に「寒イボが出るほどショック」
それでも田中氏はたったひとつのことさえ守っていてくれれば、そんなことはどうでもよかったという。たったひとつのことというのは、ベストセラーにもなった1994年の著書『遺書』のなかで松本自身が書いた、笑いへの決意だった。
「いつまでも笑い一本で勝負していきたいものである。それはすごく勇気と自信のいるものだが、天才松本はあえて挑戦しようと思う」
田中氏はこの言葉を引いたあと、松本にこう疑問を突きつける。
〈それが、それが、今は何がどうなっているのですか?『ワイドナショー』って何ですかそれ。「コメンテーター」って何のつもりですか。いったい何事が起こったのですか。天才のやることとはどうしても思えない〉
田中氏がとくにショックを受けたのは、「2025大阪万博誘致アンバサダー」就任と、共謀罪に賛成し「多少の冤罪はしょうがない」と発言したことだった。大阪万博大使就任のニュースに〈寒イボが出るほどショックを受けました。我らのダウンタウンをどうするつもりなんや、と思わず叫びました。〉とその思いを吐露し、共謀罪賛成については、こう皮肉っている。
〈うーそーだーろーー! 一体何がどうなってしまったのですか? ほんと、悪い夢を見ているようです。〉
さらに、田中氏が知っているかつての「松ちゃん」と現在の「松本人志」のあまりに大きすぎる乖離についてこう綴る。
〈誰かが不正アクセスをして「松本人志」を乗っ取った。そして「松本人志」になりすまして好き勝手なことをしている。彼の莫大な数の信者に日々、悪巧みを刷り込んでいる。そして不正アクセスをして「松本人志」を乗っ取ったヤツは「あべちゃん菌」に感染したヤツに違いない〉
田中氏の言葉は鋭いが、しかし、けっして単純な松本批判ではない。ダウンタウンを発掘した名プロデューサーの切実な思いの吐露といったほうがいい。田中氏はこの文章をこんな言葉で締めている。
〈現在「松本人志」を名乗っている人にお願いです。早々に「松ちゃん」から立ち去ってください。もっと才能のない影響力のない、ゲスなおっさんに乗り移ってください。「松ちゃん」を我々に返してください。お願いします。 草々〉