「週刊金曜日」7月21日号
強者に媚びへつらい、自分の既得権益を守り、弱者を叩く。無知無教養のくせにわけ知り顔で安倍政権擁護を撒き散らす。“権力御用芸人”と化した松本人志については、本サイトでも毎週のように繰り返し批判してきたが、先週末発売の『週刊金曜日』が大々的な批判特集を組んだ。
しかも、内容はかなり強烈だ。適菜収氏が松本のネトウヨレベルの無知とその影響力への無自覚の罪をアイヒマンになぞらえれば、中村うさぎ氏が弱者を踏みつける体質を糾弾。また「日本のお笑いは権力批判ができない」発言で松本ら芸人たちから総攻撃を受けた茂木健一郎氏も登場し、日本の笑いをつまらなくしているのは、「笑いの王様である松本人志さんを「忖度」するような周囲の反応」であると改めて指摘していた。
しかし一番興味深かったのが、『4時ですよーだ』のプロデューサーだった田中文夫氏の「前略 松本人志さま」と題する文章だ。『4時ですよーだ』といえば、80年代後半、まだ東京進出前のダウンタウンが初めてテレビでメインを張り、関西で大人気を博した生放送バラエティ。田中氏はまだ駆け出しのダウンタウンを抜擢し、その後の大ブレイクに導いたいわば育ての親のような人物だ。
〈お久しぶりです。もう何年もお会いしていませんね。最後に顔を見たのは松ちゃんの結婚披露宴だったと思いますから、もう8年前になります〉
松本への手紙のかたちをとっている田中氏の文章はこんな書き出しで始まる。そして、ダウンタウンとの出会い、『4時ですよーだ』時代の松本をふりかえって、松本のことを「天才」「モンスター」と称賛する田中氏。だが、毎日放送を離れた6年前からテレビをあまり見なくなっていた田中氏は、久しぶりに松本をみて、その変化に驚いたのだという。
〈ある時ハッと気がついたら松ちゃんが別人に変わっていました。金髪で筋肉ムキムキのマッチョマンになっていました。あれぇ、何かおかしいなぁ、見かけも変わったけど考え方も人柄も変わってしまったのではないだろうか〉
後輩芸人たちからも「松本さん、昔言うてはったことと反対のことばっかりしてはるんですけど」という話も聞くようになった。
〈確かに松ちゃんは昔から「芸人が体を鍛えてどないするねん」とか「映画は撮らない」とか「できちゃった婚はしない」とかいろんなことを言っていましたが、今は全部その反対です。〉