質問するたびに前川前次官からカウンターを食らう青山繁晴
前川氏が言うように、いま加計学園の獣医学部新設がこれだけ大問題になっているのは、「総理のご意向」文書が示すように、「岩盤規制に穴を開ける」と称した安倍首相の周辺が“お友達”に便宜をはかっていたのではないか、という疑惑が次々あがっているからだ。そこが加計問題の本質であり、“規制緩和全体の是非”はまったく争点ではない。
いきなり“ダメだし”を食らった青山センセイはなんと、「正直、いま前川参考人がおっしゃったことについては僕の予想したとおりです」と言っただけで、なんの反論もできなかったのである。
その後も青山氏は恥を晒し続けた。たとえば、“国家戦略特区ワーキンググループの議事録を読んだが、プロセスは問題なかった”として、その経緯を「現職のときに詳細にご存知だったでしょうか」と攻撃を仕掛けたら、「文部科学省として、ワーキンググループで(新設の4条件を)満たしていないと主張していることは(議事録を)お読みになればわかります」と、青山氏のほうが議事録をちゃんと読んでいないことを暴露される始末。
とくにお笑いだったのが、終盤に青山センセイが文科省の天下り問題を持ち出し、こうがなり立てたシーンだろう。
「(獣医師)会としては既存の学校だけを守る姿勢と、(文科省の)天下り問題は密接につながっているんではありませんか!? 既得権益を政官財民、とにかくありとあらゆるところが一体で守ろうとする日本の闇に繋がっているんじゃないでしょうか?」
ちょっと青山センセイの妄想が激しすぎて意味がわからないが、対する前川氏はここでも冷静だった。
「この国家戦略特区における今治市における獣医学部設置の問題、この問題をめぐる議論とですね、いわゆる天下り、再就職規制違反に関わる問題と、これは結びつけて議論するのはやはりおかしいと思います」
まさに正論だが、自民党議員席からヤジが飛び始める。しかし、前川氏はここで、木曽功氏のことを持ち出した。木曽氏は内閣官房参与の肩書きを持ちながら、加計学園の理事や同学園が運営する千葉科学大学学長を務め、前川氏に“今治市の獣医学部新設を早く進めてほしい”と働きかけてきた元官僚だ。
「仮に結びつけるのであればですね、具体的な事例は木曽理事の問題です。木曽理事はたしかに私の先輩で、内閣官房参与の身分をもったまま加計学園の理事になっておられまして、そのふたつの肩書きをもった状態で私のもとにおいでになり、加計学園の獣医学部新設に向けて働きかけをされたと。こういうOBによる現役に対する働きかけこそ、いわゆる天下り問題の、弊害のひとつの端的な例だと思っておりますが、私は木曽理事の働きかけをもって何らかの政策判断に影響させるというようなことはいたしませんでした」