NHK『クローズアップ現代+』6月19日放送より
萩生田光一官房副長官の直接関与と安倍首相が開学時期を切っていたことが判明した、加計学園をめぐる文科省の新文書。安倍首相が「腹心の友」のために、官邸を動かし、行政をゆがめ、国家戦略特区を利用して便宜を図っていたことが実証されたも同然だが、今回、もうひとつの衝撃が走った。それは、この新文書をスクープしたのがNHKの『クローズアップ現代+』だったことだ。
NHKといえば、籾井勝人会長時代、リニューアル前の『クロ現』で国谷裕子キャスターが菅義偉官房長官を集団的自衛権の憲法解釈変更をめぐり質問攻めにしたことで官邸が激怒。2016年3月で国谷キャスターを降板に追い込んだほか、露骨に報道内容に介入した結果、NHKの報道は完全に萎縮し、「安倍チャンネル」などと揶揄されてきた。
それが、ここにきて加計学園問題の決定打となる文書を突きつけた──。もっともこの報道までには、大きな障害があったらしい。
「今回のスクープを取ってきたのは社会部の文科省担当記者で、数日前には取材を終え、いつでも報道できる体制が整っていた。ところが、政治部出身の小池英夫報道局長の横槍が入って、国会閉幕後、しかも安倍首相の記者会見後に放送をずらされたんです。安倍首相や政権幹部が新たな材料で追及されてしまうのを避けるという忖度です。新文書の第一報が『クロ現+』だったのも同様で、政治部が主導権を握るニュース枠で第一報をやるのを拒否されたためです」(NHK関係者)
それでも、『クロ現』のこの新文書報道は籾井氏が会長だった時代なら、絶対に考えられなかったスクープ報道だ。以前なら、そのままお蔵入りどころか、取材前につぶされていただろう。
これだけではない。最近、NHKでは他にも、安倍政権の不正を報じる社会部発のニュースが時折、流されるようになった。たとえば、同じ加計学園をめぐる問題では、6月2日に他メディアに先駆けて、文科省の現役職員の証言というかたちで、「官邸の最高レベル文書は今も職員のPCなどに保管されている」事実を報じた。