「みんなにチャンス!構想会議」でお友だちにチャンスを狙う?
また、安倍首相は「先週も調査結果の発表後に予算委員会の集中審議に出席した」と得意気に胸を張り、「何か指摘があれば、その都度、真摯に説明責任を果たしていく」などと宣言していたが、冗談も休み休み言ってほしい。
「集中審議に出席した」と言っても、たったの3時間。しかも、側近中の側近である萩生田光一官房副長官が獣医学部新設に直接関与していた証拠まで明らかになったのに、それを一切認めようとせず、文科省から出向中の内閣府職員にすべての罪を着せ続けただけだった。
「真摯に説明責任を果たす」というのなら、昭恵夫人や前川喜平・前文部科学事務次官らの証人喚問にすぐに応じればよかったではないか。今からでも、こんな記者会見などではなく会期延長や閉会中審査に応じればいい。
だが、安倍首相はそういう説明責任への具体的な姿勢は口が裂けても口にしなかった。かわりに、連呼したのが、例の「岩盤規制」だった。加計学園だけに獣医学部新設させたことを「岩盤規制の改革」だと主張し、民進党を“抵抗勢力”呼ばわり。「既得権と手を結ぶことも決してない」「私は絶対に屈しません」「今後も総理の私が先頭に立ってドリルの刃となってあらゆる岩盤規制を打ち破っていく」と宣言したのだ。
しかし、これらがまったくの嘘だというのは、内閣府の文科省に対する圧力文書や京都産業大学外しの経緯でとっくに明らかになっている。その説明すらせずに、空疎なスローガンをいくら連発しても「これからも私物化していくんでヨロシク」という宣言にしか聞こえない。
しかも、安倍首相はいつものパターンで、自分の責任を棚上げしたあとは、「有効求人倍率はバブル期以上」「長年、実現してこなかった返還不要の給付型奨学金制度を創設する法律も成立」などと成果のアピールに勤しんだ。
しかし、有効求人倍率が高いのは人口減で求職者が減っているのと、非正規社員が増えているせい。個人消費も実質賃金も上がっておらず、これで景気回復を謳うのはまったくのフェイクだ。給付型奨学金もまた世界的に見れば当然の話で、安倍首相は会見で「どんなに貧しい家庭に育っても高校にも大学にも進学できるように」などと宣ったが、高校の授業料無償化制度を廃止した当人がよく言うよ、と突っ込まざるを得ない。
おまけに、安倍首相はこの夏から「みんなにチャンス!構想会議」というワケのわからない有識者会議を立ち上げるとし、相も変わらず「改革者」虚像を自ら振りまいたのだ。おそらく、かなりの数の国民が、「それって、また自分のお友だちにチャンスを与えるんだろ」と突っ込んだのではないか。