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「キネマ旬報」が共謀罪を特集! 映画界から続々とあがる反対の声、周防正行、ケラリーノ・サンドロヴィッチも

森達也や周防正行も共謀罪成立後に起こる表現の萎縮を危惧

 この特集を担当した「キネマ旬報」編集部の前野裕一氏は、17年6月8日付東京新聞のインタビューにて、いま敢えてこういった記事をつくった理由についてこのように答えている。

「こんな法律が成立したら、社会を告発する映画が作られなくなるのではないかという危機感があった」
「共謀罪は『平成の治安維持法』と呼ばれる。じゃあ実際に、治安維持法の時代とはどうだったのかを映画から考えたい。二度とあってはならないと、映画を作った先人からのメッセージを受け止めるのは今をおいてない」

 彼らが述べている通り、共謀罪が成立すれば、権力に対して批判的な表現は世に出にくくなるだろう。そういった萎縮は、文化・芸術にとって大きな打撃となる。

 だから、共謀罪に対して反対の声をあげる映画関係者は数多い。4月7日に日本ペンクラブ主催イベント「共謀罪は私たちの表現を奪う」に登壇した森達也監督はこのようにスピーチした。

「映画監督とか漫画家とか小説家とか大学教授とか写真家とか、僕らにとってみれば言葉とか思想は、表現は、大切な商売道具です。だからこれは由々しき問題です。看過できません。
 一般の方には関係ないかもしれない。そう思う方が大半でしょうね。でもそうじゃないんです。漫画が非常に沈滞してしまったり、あるいは、政権に気配りしている映画ばかりつくられたり、小説も批判がまったくできなくなる。そうした状況を考えてください。誰が損をするのか、誰が得をするのか」

 共謀罪は、たとえ成立後すぐに逮捕に結びつかなかったとしても、クリエイターたちに「こんなことを言ったら、もしかしたらいずれ逮捕されるかもしれない」という恐れを抱かせることで、確実に「自主規制」を招く。それも大きな問題だ。周防正行監督は17年4月18日付朝日新聞のインタビューでこのように危惧を語っている。

「政府は否定するだろうが、権力に都合の悪い運動や主張をする人を立件する武器を手に入れることになる。
 時の政権に声を上げることがはばかられる社会になるだろう。表現をする立場には確実に影響が出る。例えば「反原発」や「基地問題」をテーマに、政府を批判する映画を準備するとどうなるのか。法案では「組織的犯罪集団」が捜査の対象とされる。撮影は監督を中心にスタッフが組織的に動く。「治安を乱すおそれがある」と、日常的に情報を集められるのではないか。
 権力としては、新設する罪を使って有罪にしなくてもいい。「話を少し聞きたい」と任意の捜査をするだけで、萎縮効果は抜群だ。「私たちが何を考えているのか」を国家が絶えず監視する社会になる。密告や自白といった証拠に頼らざるをえず、冤罪は確実に増える。「映画監督としてどう思うか」の前に一人の人間として許せない法案だ」

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