高校無償化を廃止して赤字必至のリニアに3兆円バラまいた安倍首相
そして、この「バラマキ」批判の急先鋒こそ、安倍首相その人だった。高校授業料無償化に対しては「金持ちへのバラ撒き」(「週刊ポスト」2014年10月31日号/小学館)と決め付け、無償化と同様に民主党がはじめた子ども手当については、こんなトンデモ理論で猛批判していた。
「民主党が目指しているのは財政を破綻させることだけではなく、子育てを家族から奪い取り、国家や社会が行う子育ての国家化、社会化です。これは、実際にポル・ポトやスターリンが行おうとしたことです」(「WiLL」2010年7月号/ワック)
実際、安倍首相は総理に復帰すると、子ども手当と高校授業料無償制度を廃止。その一方で、赤字必至のリニア新幹線に公的資金3兆円を投入するほか、外遊先でも「バラマキ」を繰り返している。
そもそも、日本は先進国のなかでも圧倒的な「教育支援後進国」だ。経済協力開発機構(OECD)加盟国において、約半分の国では大学授業料は無償化されているが、他方、日本はGDPに占める教育の公的支出の割合が最低の水準という最悪の状況だ。
ようするに、安倍首相はこれまでもいまも教育無償化を推し進めることができたにもかかわらず、放置するどころか、高校授業料無償化の廃止が象徴的なように“積極的に”切り捨ててきた。それを憲法改正の「アメ」として利用しようと動き出したのだ。
もちろん、これは安倍首相をアシストする維新の会も同様だ。だいたい維新は、2013年に与党が出した「高校無償化廃止法案」に賛成していた。それを改憲のために教育無償化をもち出すとは、維新も安倍首相もまったくデタラメだらけ、国民を馬鹿にしすぎだろう。
しかも、「憲法改正で教育無償化」というデタラメかつでっち上げ話には、恐ろしい問題が潜んでいる。それは、無償化の一方で憲法に書き込もうとしている「中身」にある。