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ガンバ大阪「ナチス旗」問題を取材検証! 本質は日本社会の差別への無自覚性、サッカー界は対策プログラムの導入を

「ファッション」では通用しないナチスの意匠の模倣

 日本ではかつて同盟国であったということもあるのか、それとも東の果ての島国で情報が伝わりにくいということなのか、ナチスの意匠に対してあまりにも無警戒ということも背景にはあるだろう。昨年には、あるアイドルグループがナチス風の衣装でライブに登場して、ユダヤ系の人権団体「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」に抗議されるという一幕もあった。このときは所属レコード会社やプロデューサーの秋元康が謝罪するという事態となった。一方、ガンバ大阪も山内隆司社長が記者会見にて謝罪することとなった。このような事態はJリーグのみならず、なぜ次々と起きるのか。おそらくそれは日本の社会風土にある差別問題から目をそらす傾向にあるのではないか。

 ガンバ大阪のプレスリリースによれば、「政治的・宗教的思想を含む、もしくは連想させるフラッグ等の掲出は、公序良俗に反するため、Jリーグ共通ルールはもちろん、クラブとしても一切認めておりません」とのことである。クラブの広報も“SS”であろうが“Sh”であろうが、また思想性があろうとなかろうと、政治的・宗教的なものは容認できないと筆者の取材に答えている。しかし、あまりにもおおざっぱな考え方ともいえる。問題は、政治的・宗教的なエンブレムを使ったことではなく、差別思想を内包したナチスのものを無批判に使用したからなのであり、本質はここにあることは言うまでもなかろう。

 前述のジャーナリストのオロウィッツはユダヤ系アメリカ人である。彼がいち早くTwitterでこのナチス旗を問題視したのはこれが理由でもある。先日、彼のアメリカの故郷でユダヤ系の人々の墓地が荒らされて、墓石が破壊されるということがあったという。このことはトランプ政権の誕生とともに活性化する反ユダヤ主義者の仕業ではないかということで日本でも一部でニュースになった。彼はすぐに両親に電話し、自分の祖父母の墓ではないかと尋ねたという。“SS”というのはこれらの心無い行為をする人たちのシンボルなのである。ナチスは数百万人という罪もないユダヤ系の老若男女を殺戮した。そればかりではない。ロマといった少数民族や障碍者を役に立たない存在として惨殺していった。これらの人たちにとって、ナチスのエンブレムやコスチュームは、自分たちの存在をおびやかす恐怖の象徴なのである。当たり前だが、ファッションとか「カッコいい」というものとはまったく異なった受け取り方となる。

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