「朝鮮人が井戸に毒を入れている」などというヘイトスピーチが口をつくのは、歴史を直視していない証拠であり、あまりにも浅薄で恥知らず。クズ同然の行いだ。だが、ネット右翼やネトウヨ系まとめサイトは、このヘイトデマに便乗して「関東大震災時の朝鮮人虐殺こそ、悪質なデマです」などとがなり立てている。
おそらく内閣府に批判や苦情を入れたのも、こうした言説に感化されたネトウヨたちだろう。本来ならこうしたデマをただすためにも、今回削除された朝鮮人虐殺に関する報告書は非常に意味のあるものだったはずだ。しかし安倍政権はデマをただすどころか、お仲間のヘイトデマに基づいた「苦情」「批判」を口実に、明らかな史実をなかったことにしようとしているのだ。
ここ数年でネトウヨや極右界隈で盛んに叫ばれるようになった「朝鮮人虐殺はなかった」なる歴史修正の物語の典型である。しかし、何度でもいうが、朝鮮人虐殺は当時の記録や市民の目撃証言も無数に残されており、また治安出動を指揮した警視庁官房主事の正力松太郎自身も認めている厳然たる事実だ。
以前、本サイトは、当時の大人だけでなく子どもたち証言や、公式・私的を問わない数多の記録を詳細に取り上げた『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(加藤直樹/ころから)という本を紹介したことがある。
以下にその記事を再録するので、安倍政権がその事実を葬り去ろうとしているいまこそ、もういちど、じっくりと関東大震災と“朝鮮人虐殺”に直面した人たちの声に耳をすませてほしい。ヘイトデマに感化されて「なぜこんな内容が載っているんだ」などとクレームを入れた連中にこそ、ぜひ読んでもらいたい。
(編集部)