室井 でも森友学園問題だって、最初の頃はこんなに大きな騒動になるとは思えなかった。ほとんどのマスコミやワイドショーも完全に無視していて。だからわたしは連載コラムでもこの問題を書き続けた。そしてやっとワイドショーが重い腰をあげて、ようやく大騒動になった。
山本 経過を見てもわかりやすいですよね。一昨年の9月に国有地を管轄する部門の最高責任者だった迫田(英典)前理財局長が安倍首相と面談して、翌日には安倍首相が国会ズル休みで大阪入り、その翌日には昭恵夫人が塚本幼稚園の講演会に出て名誉校長に就任した。丸バレですよ、みたいな。しかも土地売買の交渉記録は全部破棄、証拠は隠滅したと。誰にでもわかりやすく、「いい加減にしろ」という話じゃないですか。だから国民の反応がすごい。
室井 太郎ちゃんが3月1日の予算委員会で「アッキード事件」と発言したのも話題になりましたね。
山本 いえいえ、「アッキード」という言葉は僕の言葉じゃないです。ネットで「アッキード事件」と呼ばれていて、「これはわかりやすい」と。ほかにもネット上で流通していて使いたかった言葉は、昭恵夫人を「プロ私人」と呼んだもの。「プロ市民」をもじった言葉ですよね。ただ、一般的にはこの言葉は広く理解されない、という判断で国会では使いませんでしたけど。こうした言葉ってキャッチーというだけでなく、疑惑の本質を突いていると思いますね。ネットの中には才能溢れる人がたくさん生息しているな、と思いました。
室井 だから、国会も頑張らないと。森友問題を見ていてわたしが歯がゆく思っているのが、野党一丸でこの問題を攻めたらいいのに、なんでひとつにまとまらないんだろうって。
●裏で相手を取り込もうとする安倍首相の狡猾なやり口
山本 確かに、連携はあまりないですね。おそらくネタの共有もしていないと思います。政治の世界では、多くが自分、そして党の手柄にしたいと思ってしまうんじゃないでしょうか。一方で、情報を教えてくれる先輩はいます。「今、森友が盛り上がってるけど、実は加計学園もヤバいよ」とか、「森友の比ではない、内閣が吹っ飛ぶ」とかね。実際に、自民党内部にも、現政権はそろそろ交代してもいい、という声もあるようです。いずれにせよ、今回の数々の問題の背景は、自分たちのお仲間にオイシイ思いをさせる為に、口利きだけでなく、規制緩和など法整備を事前に整える、ということも含まれています。当然、法律違反になることもありません、ちゃんとルール変更までするんですから。
室井 でも、それってズルじゃん。8億円のダンピングだよ。