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新海誠がスガシカオとの対談で意外な発言!『君の名は。』の次は“日暮里のラブホテル”が舞台のDQN映画?

 そんななか、新海監督作品の音楽について質問されたスガシカオはこのように語る。

「僕ね、新海さんの作品を観ててひとつ思ったのが、セブンスが合わないんですよ」
「アメリカ音楽、要するにブルースが深く根づいてる音楽はたぶん、新海さんの作品には合わないんじゃないかな、と。例えばRADWIMPSは、セブンスの匂いがないんですよ。彼らはどっちかというとUK、ヨーロッパの音楽の色が強いから、新海さんの作品とすごく相性がいいんですよね」

 ここでスガシカオが言っている「セブンス」とは、「セブンスコード」のことで、根音から7度に相当する音を含んだ和音のこと。このコードを使うとブルースっぽい雰囲気になるのだが、セブンスの音楽が似合う映画とはいかなるものなのか。スガシカオはこのように説明している。

「DQNな感じだと合うんですよ。酒とか煙草、セックスの匂いがする感じになってくると合うんです。だけどピュアで美しいものが多くなってくると、だんだんセブンスが合わなくなってくる感じが強い」

 ナルシシズムを多分に含んだ文化系男子の叙情を物語の前面に押し出し、「童貞の妄想を映像化する監督」と揶揄されることもある監督の作品に「DQN」や「セックス」は最も遠い要素。この話はあまりシンクロしないだろうと思いながら読み進めていくと、意外にも新海監督は「今のお話はすごく興味深いです」と前置きした後、スガシカオの最新アルバム『THE LAST』に収録されている楽曲「青春のホルマリン漬け」を例に挙げ、このように語り始める。

「これは僕の作品に限らないのではないかと思うんですが、アニメーションの世界の中で、東京のきらきらした側面は扱いようがあるんです。でも、僕がスガさんの『THE LAST』から受け取った東京の“夜”の側面は、なかなかうまく出せないような気がするんですね。例えば「青春のホルマリン漬け」という曲で、「日暮里のせまいラブホテル」というフレーズが出てくるじゃないですか。アニメーションの中でラブホテルを出そうとすると、なかなか難しい」
「でも、例えばそこにスガさんの音楽が乗れば、僕が作るアニメーションの世界の中に「日暮里のせまいラブホテル」が成立するのかもしれない。『THE LAST』を聴かせていただきながら、ここにあるような音楽が映像とうまく絡み合ったら、今までのアニメーション映画にはないような味を付け足していってくれるんじゃないかと感じていたんです」

 ちなみに、「青春のホルマリン漬け」は、日暮里のラブホテルのなかで交わした会話(「自慰ばっかりして最近不感症なの…」と女性が語る)や、隣の部屋から漏れ聞こえてくる風俗嬢の声などを事細かに描写した曲。今年1月にスガシカオが『アウト×デラックス』(フジテレビ)にゲスト出演した際、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)で曲づくりを密着取材されたとき、制作した楽曲の歌詞があまりに過激でお蔵入りになったエピソードを披露し話題となっていたが、それはこの「青春のホルマリン漬け」のことを指している。

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