「仮設住宅を出て新しい住宅を建てようとしたら、当初の見積もりの5割増になって新居建築を断念した人もいます。必要性の乏しい防潮堤など大型復興事業が集中した結果、もっとも大切な生活関連事業が二の次になっているのです」
仮設食堂を経営していた大槌町のIさんも、新店舗の坪単価が2倍になり、開業を断念したという。
「業者はほかにも工事がたくさんあるので値引きに応じない。都知事に三陸地方の現状を直訴したい気持ちにもなります」(Iさん)
復興五輪をアピールする小池都知事の大きな課題は、バラマキしか能がない“アベ土建政治”を批判、全国的な公共事業抑制の“旗振り役”になることに違いない。仮設住宅暮らしを続ける被災者の期待に応え、復興の加速で希望を与えることが求められているのだ。そしてメディアの役割は、被災地の悲鳴に耳を傾けない安倍政権に政策変更を迫るのか否かをチェックすることではないか。
小池知事の密着取材を続ける久野村記者ら日本テレビが、ランドセル贈呈の美談紹介で事足りるのではなく、この工事費高騰問題に関する続編番組を放送するのかを注目している。
(横田 一)
都知事就任の2016年8月から2017年2月24日までの定例会見および臨時会見における指名回数を合計して順位づけをした(冒頭で質問をする幹事社の記者はカウントせず)。
ランドセルの美談について質問をした日本テレビの久野村記者に次ぐ指名回数第二位の「THE PAGE」の具志堅記者は、小池都知事が力を入れる無電柱化について3回質問。これが”好意的記者”として捉えられた可能性がある。
「都庁会見の座席表を作成しているようだ」という"座席表疑惑”も耳にした。たしかに会見中に小池知事は下をちらちらと見ながら記者を指していた。”好意的記者”が座っている場所を確認しながら指名していると疑われても仕方がない。
なお私は就任直後の8月5日と12日の2回指名されたが、それ以降は一度も指されておらず、囲み取材でしか質問機会はない状態が続いている。都庁での会見で最後の指名となった8月12日の会見では、小池知事と築地関係者の面談が冒頭だけしか公開されないことが都政の透明化と矛盾するのではないかと質問したが、これで”批判的記者リスト”に分類されたのだろうと考えている。
最終更新:2017.11.20 06:33